最後の決断

  いろいろなシミュレーションを試みた結果、きちんと支出をコントロールできれば、金銭的には最低限ギリギリの生活は出来そうだという目処が立ち、後は決心するかどうかと悩んでいたのが2009年の秋ぐらいです。

 2月に妻を亡くし、その後フルタイムの仕事を続けてはいたものの、年齢上どうしても責任ある仕事を行わざるを得ず、神経を使う毎日でした。

 一方妻の見舞いという時間が必要なくなったので、本来はもう少し時間の余裕が出来ると思ったのですが、よく考えると見舞いには有給休暇等を利用して行っていましたので、その分ゆとりがあったわけです。

 妻がいなくなり、有給休暇をとる必要がなくなれば、必然的に朝の出勤時刻から定時で働くことになります。帰宅後は夕食の準備や家事が待っています。

 1日働いて、帰りがけにスーパーで食材を買って、出来る限り息子と一緒に食事をし、その後は片付け。ほっとしたころ風呂の準備や翌日の準備。場合によっては仕事を持ち帰ったりしますので、ゆとりがまったくないなあという感想を持ちました。

 そんな中で早期退職について考えると、経済面は何とかクリヤという見通しがついてきたので、徐々にその方向に気持ちが傾きます。

 しかしそれでもそんな簡単に踏み切れません。経済はともかく、では退職後はどんな生活をするのか。ただ1日中フラフラと家の周りをうろつくだけの生活になるのか。それとも何らかのパートのような仕事を得るのか。イメージが湧きません。

 またさらに言うと、実家の母親等にその事を伝えて納得してもらえるのか。世間的な体裁はどうなのか。続けていれば将来はもっと経済的に楽な生活が出来るのではないか等々、様々な疑問と不安が渦巻いていました。

 そんな中で決心のきっかけというか後押しになったことは、自身の健康というか体調でした。

 このときは気がついていませんでしたが、子育てをしながら日々の家事をこなし、職場で重要な仕事をこなしていくということは、精神的に大きな負担となり、見かけは元気でも気分的には常に落ち込んでいました。

 やらなければいけない仕事はこなすものの、それ以上の仕事は全くやる気が出ないという状況です。朝はなんとか出勤していましたが、「はあ〜今日も仕事か〜」と思っていたのは間違いありません。

 そのため、「不眠、悪夢、高血圧、イライラ感、無気力」というような症状が出ていました。いま振り返ってみると、やはり軽い鬱状態に落ち込みかけていたのではないかと思います。( 健康不安の詳細については健康状態のページで詳しく書きました)

 そのような状況を客観的に考え、このままいったら、きっと自分は何らかの病気を発症する。そうなってしまったら、それこそ子育ても、仕事も出来なくなる。それだったらいっそのこと仕事をきっぱりやめて、気楽に自分の出来る範囲の生活水準でノンビリやって長生きした方が、自分のためにも息子のためにもなるのではないかと考えはじめました。

 またもし私の将来設計の見通しが甘過ぎて、家計が破綻するようなら、現在住んでいる持ち家の売却を考慮すれば、当面の生活は何とかなるかなと思うようになりました。

 まさに背水の陣です。一方フルタイムの生活を続けて健康を害すれば医療費等の負担もあり、かえって家計の破綻が近づくのではないかとも思えました。
 
 そういった様々な条件を考えつつ、これは早期退職しかないなと思うようになっていったのですが、それでも踏み切るのはやはり恐怖感があります。

 では最後の最後に決心のきっかけになったのは何かというと、秋口に行われた仕事分担で、冬場の仕事量がさらに増えると言うことが分かったからです。この話が決まった事により、「このままでは健康を害する」という意識をさらに強く持つようになり、最後の決断に至りました。


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