年金支給年齢引き上げ法案は
先延ばし?

 年金支給年齢引き上げ問題は、来年度の通常国会には法案を出さない、という小宮山厚労相のコメントで、今回は一応決着が付いた感じです。しかし年金の破綻はもう目前だ、と言うことがかえってはっきり分かってしまいました。

 特に40代から50代半ばの方は大きなショックを受け、これからは正業だけでなく、本気で副収入を考え貯蓄をしておかないと、満足な老後を送れないのではと不安になったと思います。 (私もそう思ってアフィリエイトを勉強しています)

 政府としては、年金財政が危なくなっている事を少しずつ国民に知らしめて、「そんな状態では、支給年齢引き上げはやむを得ないか」と考える人が増えることを願って、ちょっとジャブを放ってみたという感触かもしれませんが、受け取る側としてはハードパンチでした。

 結果的には年金財政に対する不信感がさらに増したとも言えそうです。今回の件は突然思いついたように厚労省が発言し、周囲が物議を醸し、結果にたじろいで方針を変えたようにも見え、ある意味では風評被害ともいえそうです。

 この報道によって、不信感はますます膨らみ、20代、30代の方はさらに年金保険料の支払いをこばみ、悪循環になるとも思えます。 「もっときちんと将来像を示して案をしめせよ」と誰もが言いたくなるようなドタバタ劇でした。

 今回の問題を通して感じることは、年金問題が少しずつ意識されてきて、老いつつある私のような人間は、どうやったら少しでも多くもらえるのかと考え、若い方たちは、いったい自分はいくらもらえるのか、いっそのこと支払いはやめて自助努力にしようか、と悩む人が増えていくということです。

 今日の毎日新聞(2011年10月28日)では、ギリシャの財政破綻の原因は手厚い年金制度にあると書かれていました。早期退職が50代で認められているため、若くして働かなくても良いということになるようです。

 その意味では、日本人の方が勤勉で、なおかつ60歳以上になってもがんばろう(頑張らざるを得ない)と考える人は大勢いるので、政府は恵まれた環境にあったのだと思います。

 しかしそれをいいことにして、無駄な施設をじゃんじゃん作ったり、職員の福利厚生費用まで年金費用から支出していたのは大問題。この辺の考えは、勤勉な国民をもった施政者の気の緩みというか傲慢さがよく現れています。

 さらに時の政府(自民党?)は、年金財政が危ないということは知っていただろうに、なんら有効な手を打たずに先延ばしにしてここまできてしまいました。

 ちなみに65歳からもらえる老齢基礎年金は、40年ぐらい一生懸命働いて、きちんと保険料を納めていれば、満額で年80万程度。一ヶ月にすれば7万弱です。これで仮に65歳から80歳まで年金を受け取ると、80×15=1200万。

 これに対して年金保険料は月約1.5万。これを40年間積み立てると、1.5×12×40=720万。なんだかずいぶん効率の良い積立にも思えるのですが、結局この効率のよさと少子化が、財政悪化の根本原因になっているような気もします。

  
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