損失が出たときの責任は?

「年金運用 国債中心見直し」の報告書案が了承(2014.3.7)

 本日の毎日新聞朝刊の経済欄の見出し「年金運用 国債中心見直し」とあります。さらにサブタイトルで「「株価対策」の見方も」と書かれています。

 この件については、昨年9月の第1109回で一度取り上げています。報道内容はほとんど同じ。要するに現在の国債中心の運用を見直して、株式等への投資比率を高めるというものです。

 日経平均のここ2年間の推移を見てみると、2012年に8000円から9000円前後で推移していましたが、2012年の終わり頃から、自民党が選挙に大勝し、安倍政権が出来ると共に量的緩和政策が行われ円安となり、2013年6月ぐらいまでほぼ1本調子で上昇。

 最高値は16000円ぐらい。しかしそこでちょっと息切れしたのか9月に向かって上下動を繰り返しつつ下降。この時に、上記の年金運用見直しのニュースが出ました。

 そのせいかどうか分かりませんが、10月、11月に入り、再び株価は少しずつ上昇。2014年初頭には再度16000円を達成。ここでまた達成感が出たのかズルズルと14000円近くまで下降。

 最近は15000円前後でフラフラしています。4月からは消費増税が見えていますから、ここから一気に買いが爆発なんて事は予想できず、どちらかといえば為替の動きに引きずられている印象があります。

 しかし安倍政権としては、景気は回復しているということをなんとか印象づけたいのではないでしょうか?前にも書きましたが、景気が回復という明確な指標はありません。

 従って庶民にとって分かりやすいのは「株価の上昇」や「賃金の上昇」になるのだと思います。その意味で、今この時期にこういった運用見直し報道が出るというのは、やはり株価対策だと勘ぐられてもしょうがないような気もします。

 しかし安易な運用見直しによって、リスクの大きい商品に投資して、そこに損失が生じた場合どうするのか?ということが明らかになっていないと、適当に有名企業の株を買って、上がれば良かった、下がったら失敗しました。ご免なさいと謝られても、失ったお金は戻ってきません。

 前回も書きましたが、この先私の息子が35年ぐらい払い続けるであろう年金資金の運用方法が問われているわけで、そう考えると投資の運用年数は50年100年という長い年月を見越した見通しが必要だと思います。

 しかし実際には目先の株価を上げたり下げたりして、景気回復の印象づけに使おうという意図が見えてしまい、不信感が先に立ちます。

 いずれにしても、好意的に見れば、枯渇しつつある年金原資を少しでも増やし、なおかつ日経平均を上昇させることによって、景気回復を印象づけたいと言うことなのだと思いますが、逆に少なかった年金原資がさらに減少し、一時的に株価は上昇してもその後は崩壊、というリスクもあります。

 提案しているのは、厚労省の社会保障審議会年金部会の専門委員会です。ここに所属している委員さんが年金積立金管理運用独立行政法人に運用見直しを求める報告書を作成したという段階です。

 さてどうなるのか?若い人たちが関心を持つべき問題かなと思っています。

  
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