充実した生活を送る基盤

団塊の世代がやりたいこと、それを支える家計(2014.7.21)

 何回か書いていますが、団塊世代のシニアがやりたいことは、いろいろなアンケート調査を見ても、常に第一位は旅行です。この中には海外や国内の両方が含まれ、さらにハイキングや登山も含まれています。いずれにしても、あちこちでかけたいという欲求が強い世代であるといえそうです。

 ではなぜそういう欲求が強いのか?私も含めて団塊の世代を中心とする人たちは、いわゆる青春時代は受験戦争という言葉に明け暮れ、その後は終身雇用という制度の中で、猛烈社員として働き、若い時代は高度成長期の波にのったものの、管理職になる頃からバブルが崩壊し、不況が始まります。

 この間、結婚し家族を持ち、教育費を捻出する傍ら必死に貯蓄をして自宅を購入。ようやくの思いで定年にたどり着いたと思ったら、年金減額やら受給年齢繰り下げという新しい制度が出来、息の休まる暇もなく40〜50年間を駆け抜けてきました。

 そして振り返ってみれば、ひたすら会社のために尽くしたとはいえ、退職してしまえばそういった後ろ盾もなくなり、「これから先いったい何をしよう」と考え、とりあえず仕事という束縛から離れたんだから、これまで行くことが出来なかった憧れの場所に行ってみようということなのかなという気がします。
 
 また旅行の次にやってみたいことはパソコンやスマホ、タブレット端末の取り扱いだそうで、ちょうど団塊の世代あたりからコンピューターが普及してきましたから、それに乗り遅れてしまった人たちが改めていろいろやってみたい、ということなのだと思います。

 両者を組みあわせれば、ネットを使って、ツアーよりも安く、自分好みの旅行が出来るのではないかと期待している方もいるのではないかと思いますが、これについては私の経験から言えば、今の時代は個人手配の方が自分好みの旅行が出来るように思います。

 一方意外なことに?シニア世代は一人旅を希望する方も多いようです。一時期は退職後は夫婦でのんびり旅行、というキャッチフレーズのツアーも多かったように思いますが、実際には夫婦でも好みが違う可能性があり、それだったら気楽に一人旅ということなのかもしれません。

 また再三書いているように、日常的に出来るような趣味についても強い関心を持っているようです。私の場合はこういったブログ書きやホームページが趣味というか、若干副収入の源になっています。

 先日の高校時代の同期会で、多くの方が今やっていることまたはやってみたいことは「家庭菜園です」と言っていました。ひたすら人間関係の軋轢の中で働いてきた企業戦士としては、やはり人ではなく、旅や土といった、ちょっと人間関係を離れたところに価値を見出しているのかもしれません。

 というわけで、そういったアンケートを見ていると、今の私の生活環境は、ほぼ理想的なものなのかもしれないなという感想を持ちます。

 非常勤講師という仕事の合間に旅行に行き、自宅ではコンピューターと接し、気分転換に家庭菜園で土を耕したり、近所の河川敷をウォーキングし、三食は自分で工夫して料理をしているわけですが、端から見ると典型的な悠々自適なのかもしれません。

 確かに毎日やる事があって忙しいなあと感じていますが、それが精神的なストレスになっているわけではありませんので、充実した忙しさなのかもしれません。

 ただこういった生活を送るためには、やはり経済的な支えがないと厳しいです。自分の資産の把握、今後の収入や支出状況の把握という作業をすることによって、「たぶん大丈夫だろう」という見通しがあるので、好きなことをやれる(贅沢なことは出来ませんが)環境が整ってきたのだと思います。


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