年寄り教員が増加、若手教員が減少

少子高齢化への教育現場への影響(2012.9.24)

 早期発見が大事であると言うことが分かっている教員は、アンテナを高くして、生徒の動向を様々な場面で観察しています。

 担任の場合、普通は登校時の様子、朝の連絡時の様子、自分が授業を持っていればその時の雰囲気、また週に1時間程度あるロングホームルームと名前が付いた生徒が運営するクラス独自の時間(指導困難校では生徒だけでの運営は不可能なので、教員が手伝いますが)そして放課後の連絡と掃除の時間が情報収集の時間となります。

 この時何らかの異変を感じれば、昨日書いたように、いろいろな先生に相談し連絡体制を作り、さらに情報をあつめます。

 しかしこれらの行為は、アンテナを高くしていないと気がつきませんし、そうやって情報収集していてもまったく気がつかず、他の先生から「最近この子が・・・」と言われてびっくりすることもあります。

 で、この先書く内容は教員の組織に関することですが、少子高齢化社会というのは、我々教員の世界にも影響していて、私が教員になった頃は、教員集団の年齢構成がピラミッド型か長方形型になっていました。

 そうすると、55歳以上の、一番トップの先生方はいわゆる長老として、政治で言えば政党顧問となり40代から50代前半の先生が各係分担の長となり、その下に働きざかりの30代から40代前半の教員がいて、さらにその下に教員になったばかりの右も左もわからない若さだけがウリの教員がいるという構成でした。

 そうなると学校運営というのは、ある意味自民党?のような保守的な色彩が強かったものの、上からの下への指示系統ははっきりしていて、また若い先生方同士で飲みに行って長老や管理職、その頃の教育体制に不満をぶつけ合うなんてことを私自身経験してきました。

 そしてそういった話の中で、「今、内のクラスの誰それがどうこうで指導に手を焼いている」とか「あいつは性格はいいんだけど、やけに暴力的だ」とか「あいつは内向的でいじめの対象になりやすそうだなあ」なんてことを結構情報交換していました。

 そうすることによって、お互いのアンテナを高く維持していたとも言えます。また必要に応じてベテラン教員の指示を仰いだり、教えてもらったりしたこともあります。

 ところが少子高齢化と老齢年金の繰り下げ受給が決まり、現在の学校は、年齢構成に大きな偏りが生じています。つまり簡単に言えば年寄りの教員が増え、若い人が少ないということです。

 若い人が減れば若い人通しの交流も減り、さらに私が年をとったせいでそう感じるのかもしれませんが、最近の若い人は他人との交流や情報交換をあまり好まないように見えます。

 その結果、何らかの兆候を発見するという機会があっても、それを全体に流し対策を練ると言う行動がどうしても遅れがちになっているように思えます。

 場合によっては最初から同じようなことを書き続けていますが、そんな面倒なことはしたくないという潜在意識があったりすると、「いじめ」を見ても「からかい」だと自分で勝手に判断し、それなら特に指導の必要はないと考え、報告もしない、と言うことです。

 こうなると最初に書いたように、本当にいじめられている生徒がいたとき、該当生徒は学校内では誰にも助けを求めることが出来ない、ということになります。

   
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