投資にはリスクが伴います

AIJの運用失敗について(2012.2.25)

 企業年金を運用していた「AIJ投資顧問」という会社が、預かっていた資産2000億円の大半を失ったいう衝撃的なニュースが出ています。

 この会社、素人が手を出すのは危険と言われている「金融派生商品」で資金運用を行ったものの、結局損失が拡大し、資産を失ったと言うことのようですが、信用して資産を預けていた方は、「失敗しました」では済まされません。

 「高い利息をつけた運用が可能です」と言いつつ、お年寄りから金品をだましとり、実際には何も運用せず、その金で遊びほうけて、最後には金を使い果たして警察のやっかいになる人がいますが、それを会社ぐるみ、組織ぐるみで行っていた可能性があります。

 一方「あまりにうまい儲け話には裏がある」という基本的なリスクを忘れ、利率がよいし、実績をあげているように見えるから運用を頼もう、と決断した企業年金を扱う幹部にも問題があるわけで、なぜそのような会社を選んだのか、企業年金側にも説明責任があると思います。

 年金を扱う人たちは、そのお金をいかにうまく運用して増やしていくか、ということが最大の関心事だと思いますが、そのためには現在の社会情勢に照らして、あまりに効率の良すぎる話ではないかという疑念も常に持って運用に当たらないと、今回のような事件が起きてしまいます。

 隙をつかれた、判断が甘かった、と後になって感想を述べるのは簡単ですが、それらの資金を託した一般庶民のお金は戻ってきません。

 どこかに自分のお金ではないから、という甘えが出てしまうようにも思います。

 国の年金会計がいい加減だ、ということでずいぶん批判されていますが、今回の事件は民間の企業年金についても、リスクがあるということを示しています。

 個人的に、自分が何かの投資信託に投資して、その投資信託がいい加減なもので損失を被ったというのは自己責任ですから、私は納得できますが、信頼して運用を任せていた会社が、いい加減な判断で投資会社を選び、資金を減らしてしまってはたまりません。

 この投資顧問会社が糾弾されるのは間違いないと思いますが、企業年金の運用先を探している方達にも、やはりもっと投資先を見極める力が必要なんだなと思います。

 なおその後戻ってくるのは10%弱であることが判明しましたが、資産として500万預けて、一生懸命運用しましたが、運用後残高は50万円に減りましたでは、たまったものではありません。


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