不正受給は許されないことですが・・・

生活保護不正受給の謝罪会見を見て(2012.5.28)

 思わぬ所から生活保護費受給の問題がクローズアップされてきました。不正受給が横行しているのでは?という不信というか不満を見透かしたように、女性週刊誌が実名を伏せて疑惑のタレントの不正受給を記事にし、それを読んだ?国会議員さんが、ネットで実名が分かったことをきっかけにして追究。

 結局不正受給の事実があるのかどうかよく分からない状態で、本人は謝罪会見。実名を上げて追究した国会議員は「それみたことか」と言わんばかりに実績を誇示するという構図になっているように思えます。

 私はこのタレントさんの実績も人柄も知りません。テレビで見たことあるかなあと記憶を探ってみましたが、お笑い番組は笑点しか見ないので、まったく思い当たりません。 もしかしたら笑点にも出ていたのかもしれませんが、芸人の名前はほとんど覚えていません。

 また不正受給を追究したと言われているこの国会議員さんが自民党であることは知っていますが、それ以外の信条であるとか業績等についてはまったく知りません。

 まあ要するに何も知らない状態で、今日初めて朝のテレビで謝罪会見の様子が報道されたのを見て、最初に思ったのは、「もし不正受給が行われていたとしても、これほどまでの謝罪会見を開く必要があるんだろうか」と言う素朴な疑問でした。

 生活保護制度は市町村の福祉事務所が運営しているようで、その受給権の審査はひじょうに厳しいものがある、という噂を聞いています。

 要するに無償でお金を提供するわけですから、個人及び親族の資産等のプライバシーが丸裸になるのだと思っています。その結果受給が決定するわけですが、いったん決定すると、その後の審査は形式的なものになる、という疑いが出てきました。

 つまり、「ある時金がない。資産もない。扶養も出来ないし、してもらえない」という条件で受給が決まるのかなと思いますが、その後は形式的な審査になってしまい、突然金を稼ぐ術が見つかって収入が増えても、それを察知し受給権に反映させるシステムがない、と言うことなのかなと思えます。

 今回の例は、その典型的な例かもしれませんが、だとしたら謝罪会見をするのは本人もそうですが、担当していた福祉事務所も、「知らなかったこととはいえ、余計な支出(支給)をして申し訳ありませんでした」という謝罪があっても良さそうなものです。

 それがないままに、金を返すとか言っても、福祉事務所が不正でないと判断しているならそのお金は受け取れないでしょうし、不正だと分かったなら、ここまで大事になった以上、それこそすぐに会見を開いて不明を恥じた謝罪をすべきであるような気もします。

 まあそういった現場の混乱をあぶり出すことによって、この生活保護制度のあり方を考え直す機会にしたいというのが、冒頭の国会議員さんの意図であるような気もします。

 しかし、国会議員という立場で一庶民の行状を、プライバシーへの配慮も無しにあげつらって批判するという態度には、思いやりはまったく感じられず、私は偉いんだ、何でも知っているんだ、という傲慢さしか感じられません。 (支持者の方が読んでいたら、申し訳なく思いますが)

 もう少しやり方に配慮できないものかと思えます。   


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