給料や年金が上がるのは、一番最後

株価は上昇していますが、国の借金は激増(2013.1.12)

 大胆な金融緩和に続いて、大規模な補正予算だそうです。補正というのは、文字通り解釈すれば、全体の予算を執行して、それでもどうしても足りない部分を補うために組む予算だと思いますが、今回は国の支出だけで約10兆円だそうです。

 現在の税金の収入が50兆円に満たず、通常の予算総額が100兆円ぐらい必要で、すでに国債等で50兆円近くを借金している状態です。

 そこへ持ってきてさらに10兆円という大規模な借金ですから、正直なところ「無謀」にも思えてしまいます。しかもこれまでの国の累積赤字は1000兆円だそうです。

 年収が500万円の家庭が、支出は1000万円必要だったので、年度当初は500万円を借金した。しかし年度が終わる頃には、さらに支出が必要になりそうだということで100万の借金を追加。しかも累積の借金はすでに1億円を越している。

 もしこんな家庭があったら、これ以上金は貸せないと通常の銀行は言うと思います。しかも年収が増える見込みはない、と評価されれば、あとはさらに利率の悪い悪徳サラ金業者に金を借りるか、自己破産するしかありません。

 それと同じことが国レベルで起きつつあるのかなと思えます。しかし阿部政権が目論んでいることは、そうではなくて、借金を増やせば円安がさらに進み、輸出企業が潤い、利益が出て、株価が上がり、配当が増え、さらに給料も上がり、納める税金の額も増えるので、相対的に借金の額が減る、という流れを考えているのかなとも思えます。

 しかし当たり前ですが、企業の利益が出ても、企業がそれをすぐに給料に反映させるとは思えず、結果的に物価は上がるけど給料は上がらない、という状況が続いてしまう可能性もあります。

 その辺りについては、新聞では給料引き上げと法人税の減税を組み合わせる書かれていますが、そうなると税収は増えないということにもなりそうです。

 その分の補てんなのかどうか分かりませんが、高額所得者の課税を強化するという案も出ています。低所得者の我々から見れば、まあやむを得ないだろうと思えるわけですが、だったら高利益を上げた企業の法人税を上げるのも当たり前だろう、という気もします。

 一方、日銀が11日に生活意識調査アンケートというのを発表し、物価上昇は困る、と答えている人が多いことが分かりました。

 しかしこれも当たり前ですね。物価と給料が連動して上がるならともかく、物価だけが毎年2%ずつ上がり、その数年後に給料が1%ずつ上がっていくような状況になったら、生活は今より間違いなく苦しくなります。

 幸いに株価は見かけだけ上がっていますから、それによって経済が好転しつつあるという感触を持つ人が増え、お金の流れが多少は良くなるのかなという気もしますが、12月から1月にかけての短期間で企業業績が好転したかどうかはまだ分かりません。

 3月決算は5月ぐらいに発表される(時期についてはよく知りません)のかなと思いますが、株価上昇もその頃が一つの目安になりそうだなという感覚を持っています。

 しかしやはり10兆円と言う借金が気になります。弱った体力に頓服薬としてこれまでも何回か同じような補正予算を組んでいると思いますが、その頓服の効果は常に短期間で、また元のひ弱な日本に戻っています。やればやるほど体力が削られる、というのが頓服薬の効果です。

 治療法の発想を変えないといけないと思うのですが、自民党政権を選んでしまったわけですから、当面その方針と結果を見守るしかなさそうです。 


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