銀行が苦しくなると
すぐに庶民にしわ寄せが来ます

キプロスで預金取り付け騒ぎ(2013.3.19)

 昨日は一時的に円高が進み株価も大きく下がりました。まあたまにはそんなこともあるだろうと思っていたのですが、今朝の新聞でそのきっかけになったと思われる事が書かれていました。

 場所はキプロス。名前は知っていますが、正確な場所が思いつきません。思わず地図帳を持ち出して確認。地中海の東の方にある島ですね。トルコの南側です。

 事件の内容は、キプロスの銀行がEUやIMFから金融支援を受ける条件として、銀行預金者に一律課税する方針を示したということで、課税に反発した預金者達が、銀行に殺到しATMで現金を引き出そうとしているということだそうです。

 課税額は10万ユーロ以上(1240万円以上)の預金に9.9%、その以下の預金に6.75%の税金を課すというもので、預金をしていると言うだけで税金を取られるというわけです。

 と言うことは1500万円の預金を持っている人は、ある日突然150万ぐらいの税金が差し引かれると言うことであり、1000万円の預金を持っている人は67万5千円の税金を取られると言うことですから、預金を引き出そうとするのは当たり前のような気がします。

 一方その条件が成立しなければ、キプロスの国内二大銀行が破綻するみたいで、そうなると今度は貯金そのものが無くなってしまう(補償がなければ)可能性もあるわけです。

 それにしてもいささか強引すぎるし、また課税額も半端な数字じゃないなと思えるのですがどうでしょうか?

 というわけで昨日の突然の円高、株安はこの事件がきっかけになったんだろうと思えますが、今日は回復していますね。ニュースを見ると、水曜までキプロスでは銀行そのものが営業しないみたいですから、その間に沈静化を図るのかもしれません。

 どうしてこんな事になったんだろうとキプロスという国そのものの情報をウィキペディアで見てみると、1990年代まで観光業に依存し割と良い経済成長率を維持していたのに、ギリシャの金融危機により銀行が膨大な損失を被ったと書かれています。

 つまりギリシャの問題がキプロスに飛び火し、それが預金者への課税に繋がったと言うことで、キプロス国民としてはやるせない思いを抱いていると思います。

 では日本はどうなのか?と振り返ってみると、バブル崩壊後いくつかの中小銀行は破綻したように記憶していますが、大手の銀行は合併し名前を変え、政府から資本注入を受け、しっかりと存続しています。

 その資本注入の原資は我々の税金ですから、預金に対する課税はなかったもの、結局それらは赤字国債となって積み上がっていて、その赤字を解消するために税金を少しずつ上げているわけですから、結果的に国民の税金で銀行を救っているのと同じ事のような気がします。

 キプロスの場合は預金者への課税ということですが、日本の場合は国民全体への課税というかたちになったのだろうなと想像しています。

 それが良いのか悪いのか私には判断できませんが、今現在安倍政権が行っている借金三昧の国家経営戦略では、いずれどこかで無理が生じ、またまた銀行の経営危機が訪れ、その時にはキプロスのような預金者に対する直接的な課税というのもあり得るんだなということが、今回のニュースでよく分かりました。


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