大口投資家ほど儲かる相場?

急激な円安と株高で儲かっているのは誰?(2013.4.6)

 テレビを見ていたら、予想通りこの間の株高で大もうけした高齢の個人投資家のニュースをやっていました。資産数億だそうで、株式投資でもうけることが生き甲斐になっているのかなと思ってみていました。

 数億あれば、老後の費用は全く問題ないと思えますが、これでやめるつもりはまったくないようで、さらに資産倍増を考えているようです。

 こうゆう方達は、資産が増えることを生きがいにしているわけで、そのお金を使って云々ということは、あまり考えていないような気がします。実際毎日投資活動をしていれば、長期に遊びに行くこともおいそれと出来ないはずです。

 しかし、実際に「昨日の1日の儲けはいくらぐらいですか?」という問いに対して、「300万ぐらい」、と軽く答えている様子は羨ましいかぎりです。

 私にとっては雲をつかむような話ですが、例えば投資金額が1億あって300万儲かったと言うことであれば、その率は3%です。日経平均を約1.3万円とすれば、400円上がれば約3%です。つまり投資金額が大きくなればなるほど、1日の儲けまたは損失額も大きくなると言うことです。

 これを我々庶民の家計と比較すれば、投資金額100万なら3%は3万です。これだと庶民感覚に近い金額だなと思えますので、率にすれば1日で300万儲かったというのも、大口投資家にとっては当たり前であるような気もします。

 しかしニュースの記事からは、300万という金額は示されましたが、実際に株を売却してそれだけの利益を確定したのかどうかは分かりませんでした。

 株式投資というのは、あくまで数字上の推移ですから、3万だろうが、300万だろうが、実際に現金を手にして始めて儲かったと言えるわけです。

 テレビのニュースや巷の投資雑誌では、株価が上がってくるとこういった「儲かった」という話が紹介され、「じゃあ私でも儲かるかもしれない」という雰囲気作りに努めているような気がします。まさに阿部政権の目指す雰囲気作りにメディアそのものが荷担していると思われます。

 一方損失ですが、1億の投資をして数字上1日で300万ぐらい儲かる日があると言うことは、逆に1日で300万ぐらい資産が減るという可能性も、ほぼ50%の確率で存在します。

 私自身の庶民的感覚では、1日に給料を上回る損失を出すような投資は出来そうにないように思えます。そもそもの家計資産が10億あって暮らしには困らないという背景があれば、1億ぐらいで遊ぶと言うことは考えられます。

 しかしその場合は投資で生活費を稼ぐ必要もないわけで、いったい何のために投資をしているのかという気もしてきます。

 というわけで、現状の株高の恩恵は、一部の暮らしに困らない人、投資資金が潤沢にある人がさらに潤い、投資資金のない小口の預金者はその雰囲気だけを味わう、という状況になっているだけです。

 これが今後数年続けば、もしかすると経済全体の歯車がうまくかみ合っていくのかもしれませんが、私自身はまだ現状に懐疑的です。その見極めは、夏の参院選近辺で決まるのかなと思っています。


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