目先の政策の前に長期的な展望を

長期的な展望が見えない政策は不安(2013.10.10)

 その昔今から40数年前、若干の不良高校生を自分自身で演出していた頃、ちょっと高校を抜け出して、喫茶店に行き、難しい顔をしてジャズを聞きながら、タバコを吸っていたことがあります。まあ40年以上前の事ですから時効だと思います。

 当時は大学紛争が吹き荒れていた時代で、私の高校もその余波を受け、生徒会活動が妙に突出し、放課後に討論会を行うようなことが日常的に行われていました。

 そんな中、ちょうど思春期にさしかかった私は、自己の内面に急に生じた青臭い問題に狼狽しつつ、それまでの真面目一途な人生を反省し?、ちょっとばかり足を踏み外す快感を覚えていました。

 同じような気持ちに捉えられた友人も多く、夜を徹して人生論や教育論を交わす、なんて言う事もやっていましたが、そういった話を通して、教育の重要性に目覚め、最終的には好きな科目だった物理の教員になったわけで、今もあの頃の体験が私の教師としての考え方にある程度影響を与えていると思っています。

 それはそれとして話はまったく別の部分にあります。その頃(昭和40年代後半)通っていた喫茶店、コーヒー1杯が100円ぐらいだったでしょうか?今のようにファーストフードのフードコートなんてない時代です。

 立ち食いソバが1杯50円程度。今は250円ぐらい?ラーメンが100〜150円?ということは、この40年で日常的な物価は5倍ぐらい上昇。

 一方当時の大卒初任給は5万円ぐらい?私が就職したのは昭和50年代初めで初任給が大卒10万円ぐらい。5年ぐらいで初任給が倍になっています。 当然ベースアップもスゴイ勢いで行われ、公務員の場合年末の差額調整が、ボーナスと変わらなかったという話も聞いています。

 ただし初任給はものすごい勢いで上がったわけですが、その分すさまじい物価の上昇もあったのだと思います。そして40数年。現在の大卒の初任給は20万ぐらい?

 物価の方は5倍で給料も4倍程度ですから基本的に生活は厳しさを増しているような気はします。(統計の取り方や見方でこの辺りの解釈はずいぶん変わるようです)

 ただし一方で老齢年金だけで今現在生活している方もいると聞いています。老齢年金の満額は80万程度ですから一ヶ月あたり7万ぐらい。これは昭和40年代の初任給水準で5倍になった物価に対応せよ、ということですからこれは厳しいと思わざるを得ません。

 年を取って働けなくなっても年金があるから大丈夫だ、という明るい未来は幻想だということが分かってきました。

 しかしその事が分かってきたのは、ここ10年ぐらいのことで、それまでは国が年金を払ってくれるから、貯蓄しないでも老後の生活は安泰だと思っていた人も多かったのではないでしょうか。

 何回も書いていますが、10年20年先の政策がきちんと示され、その内容が国民に分かりやすく浸透していればいいのですが、多くの場合、政治的な党利党略の天秤を見ながら目先の政策だけを小出しにするということが繰り返されているように思えます。

 その結果降って湧いたように数年後から年金減額とか受給年齢繰り延べといったようなことが繰り返されているように思えます。ただこれは日本だけでなく、アメリカ議会の紛糾を見ていても、先進国共通の問題かなと言う気もします。


表紙に戻る 政治の動き(2) 景気回復の定義