春闘の主導権を握っているのは誰?(2014.3.14)
春闘の結果が続々と出て、経営側は「どうだ、これだけ上げたんだから満足だろう」と言わんばかりの報道だなと感じています。
しかし今年の春闘はやっぱり変だなという気がします。以前も少し書いていますが、今回の賃上げは組合側の要求が通ったと言うより、安倍総理が再三にわたって要請した賃上げのお願いを、経済界が受け入れたという形に見えます。
もちろんここの労働組合も賃上げ交渉をしていたと思うのですが、どうもその姿がよく見えません。
バブル経済まっただ中の頃は、ともかくなんでもかんでも次から次へと値上がりになり、いわゆる労働者側の賃金がその値上がりに追いつかないという意識が浸透していたように思います。
そのため、労働者は労働組合を通して、「これだけの賃金上昇を要求する」というスローガンを掲げ、経営側と全面対決。
要求が受け入れられない場合はデモによって意思表示をするとか、ストライキをうつ、というようなことが春先に日常的に行われていたと記憶しています。
しかしその後生活水準が向上するにつれ、組合員の組織率が徐々に減少。それとともに派手な反対行動が徐々に収まり、穏やかな?労使交渉が行われるようになったのかなと推測しています。
今日の毎日新聞朝刊には「「脇役」労組 復権道半ば」という見出しがあり、これを読むと今回の賃上げ交渉は経営側対労働組合ではなく、政治主導による賃上げだったということがよく分かります。
労働組合で必死に頑張っている人から見ると、現状はひじょうに変な環境になっていると悔しい思いをしているのではと推測しています。
ある意味では、安倍総理が労働者側の意向を汲み取って、経営側に賃上げを要請し、それを経営側が受け入れたという形になっているからです。
すでに思考回路が古ぼけている私の頭では、賃金というのは経営者の判断で決まるものの、それが不当だと思えば労働組合が活動し、経営者側と交渉し、お互いに譲れる範囲で賃上げを図るというのが本来の姿だと思っています。
しかし今回の流れは、国が経営者側を動かしたという構図であり、労働組合の必要性が問われているように思えます。
またこういったことが今後も続くようなら、国が賃金交渉を行うということになり、労働者側の本当の気持ちが活かされないようにも思いますし、逆に国が賃下げを要請するなんて事も起こりそうです。
さて今後の賃上げ交渉の主導権は誰が担うのか?国がやってくれるんならそれでいいや、と思う人が増えないか?うまくまとまりませんが、今年の春闘は何か変だなと言う気持ちが先走っています。