庶民からの税金に頼りすぎ?

上場企業は最高益、国の借金は過去最大(2015.5.9)

 今日の朝刊。東証1部上場企業の3月決算で、売上高が4.4%増となり、最終利益の合計額は20.4兆円を上回る見通しだそうです。

 そういった黒字企業の原動力になったのは円安だそうですから、皮肉な見方をすれば、庶民が輸入品の高騰で喘ぐ中、輸出で儲けている企業が続出したということです。

 一方、当然の結果として、小売や食品業界は国内消費の低迷に苦しんでいるそうですから、要するに円安により海外で物が売れているだけで、国内の需要で景気が回復しているということではなさそうです。

 つまりいくらニュースで企業の収益が回復した、だから景気は回復しているという雰囲気を宣伝しても、これまでどおり足元の景気は回復していないという結論になりそうです。

 一方、経済面の片隅にさりげなく、国の借金1053兆円過去最大を更新、なんていう見出しもあります。高齢化で社会保障費が膨らんでいるためだという説明が書かれています。

 またいつものようにこれは国民一人あたり830万円の借金に相当するとも書かれていて、国の財政が危機に瀕しているという雰囲気を盛り上げています。

 毎回繰り返される説明なので、またかという気がしないのでもないのですが、最近感じるのは国には借金だけでなく資産もあるはずで、なぜその額を明確にしないのだろうかということが不思議です。

 基本的には借金と資産の差額が本来の借金ではないかという気がしています。実際財務省のページにQ&Aが出ていて、資産は647兆円あると書かれています。

 ただそれらの資産を売却して借金返済に充てるのは難しいということで、それが資産を差し引かない根拠となっているようです。

 しかしそうは言っても資産は存在するわけですから、そういった金額も含めて、一人あたりの借金はという表現があってもいいのではという気もします。(と言ってもそれでも多額の借金には変わりないわけですが)

 というわけで、そういった数字上の問題もあるわけですが、何故か国の方針としては、国の借金が多い、社会保障費は今後も増える、だから国民に対する税金を上げなくてはいけないという三段論法が展開されることが多いように思います。

 二段目までは確かに間違いないと思われ実際その恩恵を私もすでに受けているのだと思いますが、三段目が不思議。だったら好決算の企業の税金を増やせばいいのではと思いますが、現実は法人税減税に動いているように見えます。

 まただったら、支出を減らせばいいのではと思いますが、これまた社会保障費が増えているという現実を強調して、それ以外の支出を減らそうと真剣に努力しているようには見えません。

 法律をちょっと変更して税金を増やせば手軽にお金が手に入ると考えると、いまさら膨張した予算を減らすのは面倒だと思っているようにも見えます。


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