庶民だけの負担でいいのか?

原発の補償費用を誰が負担する(2016.12.9)

 韓国ではついに大統領の弾劾が決定。弾劾という言葉自体通常の政治的なニュースの中ではあまり使われないので、非常に厳しい措置なんだろうなと思えます。

 しかしまだ正式決定ではなく、裁判所がそれを認めるかどうかというのが今後の流れみたいですね。それにしても決定に至る国民の怒りはすさまじいものがあるなと思えます。

 韓国の人たちの気質はよく知りませんが、一つの方向にが〜っと向かってしまう恐ろしさを感じます。ただし今回の場合は、国家予算が不正に利用されていた部分もあるようで、ある意味当然かなという気もします。

 一方日本では東京電力の費用負担が問題になっています。私は原発反対の立場なので、そもそも原発を作るべきではなかったと思っています。

 しかし国を挙げて作ってしまった以上、ともかく細心の注意を払って運営するしかないと思っていましたが、東日本大震災が起きる前にも致命的な事故は何回か起きています。

 そして、決定的だったのが東日本大震災。それでも現地で働いている人は、自分の命を賭してなんとか事故を未然に防ごうと思ったのだと思います。

 しかし結果はメルトダウンという残念な結果となり、今もって補償を続けなくてはいけないという状況になっています。そして補償のためには通常以上のお金が必要になるということで、今回すべての人の電気料金にその分を上乗せしていこうという方針が明らかになったようです。

 事故直後から分かっていたことですが、そもそも1企業がすべての責任を担って補償できるものではない額だったはずです。原発を推進してきた政党や政治家にも大きな責任があると思うのですが、これを指摘するマスコミはなさそうです。

 結果的に、反対しているにもかかわらず原発を勝手に作り、さらに自然災害で事故が起きたと主張し、お金が必要になったということで、原発は必要ないと主張していた人にも負担を求めるという身勝手な図式となってしまいました。

 実際問題補償費用は必要でしょうから、電力費用に上乗せされるのはしょうがないんだろうなという気もしますが、だったらそれに見合った費用を政治家の歳費から削るとか、政党助成金を減らすとかしてくれないと、なんだか庶民だけに負担が押し付けられるという印象になってしまいます。

 そういった流れに反対ならば、選挙の段階でそういった政党には票を入れないということができるわけですが、これがまた選挙になると実にうまい言い訳やら理屈やらが出てくるような気がします。

 というわけで、何となくこの政党がいいんじゃん、という軽い気持ちで票を入れてしまう人が多数いれば、いつまでたっても弱者がいじめられ、金銭をふんだくられ、金持ちが潤うという流れは変化しないことになります。

 まあしかし国という大きな組織になると、当然権力のある人とない人が生まれ、金のある人ない人も生まれます。さらに知識のある人ない人もいるわけで、そういった人たちが混然一体となって国を作っていますので、結果的にふんだくる人とふんだくられる人に分かれてしまうのは社会学的に見ても当然の事かも知れません。

 私の場合でも、こうやってぶつぶつ文句を書きつつ、基本的な生活は維持できていますので、これは今までの政治が成し遂げたことだと言われれば、確かにその通りだと言わざるを得ません。

 というわけで結論めいたものはないのですが、それでもやはり原発の保障費用を庶民だけが負担するという図式は変だろうという気がします。


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