昇給格差が二極化の原因?

中流層の二極化はいつ頃から生じた?(2012.7.30)

 前回は日本の中流階級の二極化という表現を使いましたが、そもそもその昔「一億総中流」なんていう言葉が流行った時もあったように記憶しています。しかしそれは、もしかするとバブル崩壊前だったかもしれません。

 そもそも中流というのがどの程度の年収なのかはよく分かりませんが、なんとなくの雰囲気で考えると400〜800万円ぐらいのように思えます。

 しかし以前年収は勤続年数と共に上昇していましたから、若いときは400万円以下の年収が当たり前。それが年齢と共にじわじわ上がり退職間際には800万円前後になっているというのが一般的なサラリーマンのイメージだったように思えます。

 私自身、就職した1980年よりちょっと前の大卒の初任給は10万程度。諸手当がつくものの、そこから税金等が引かれて結局手取りは10万前後だったように記憶しています。

 従って4.5ヶ月分ぐらいのボーナスを含めて、手取り年収は150万前後。それがバブル崩壊までの10年ぐらいは昇級が続き、たぶん手取り年収は400万ぐらいにアップしたように思います。

 その後バブル崩壊と共に昇給率はがくんと下がるものの、公務員の特権?かもしれませんが、年齢と共にその後の10年間でさらに500〜600万ぐらいになったのではと思えます。

 このあたり正確な数字ではありません。記憶を頼りに書いています。しかしその後の昇級はあまりなく、退職間際で手取りは600〜700万ぐらいではないでしょうか。ただ税込みで考えれば、上記定義で中流の上までいっているような気がします。

 このあたり公務員だからということで、民間の方からはねたみの対象になっているのだと思いますが、バブルがはじける頃までは、公務員というのはなんて薄給なんだと同僚と一緒に嘆いていた思い出がありますから、同じ60歳前後の人と比べると、結局それほど平均的な生涯年収に差はないのではないかと思います。

 一方バブル期以降に就職された方に、前回書いた二極化現象が起きているのかなと想像しています。

 すなわち我が家の妹もそうですが、何年働いても昇級がほとんど無く、ボーナスももらえたらラッキーという場合は、二極化の被害を被った層に所属してしまったと言うことかもしれません。

 それとは逆に、公務員や東京電力に代表されるような準公務員の方達は年齢と共に順調な昇給を重ね、中流の上の層に所属していくのかなと思われます。

 つまり今まで山型だった中流層が、二つの山に分裂しつつあるということです。(このイメージはその後間違いだったことを確認しました)さらに言うとこの山の間を埋めるための方策が、現在の政治ではほとんど語られていない、と言うことも問題です。

 この方策について、現実に働いている人が考えたり制度を変更したりするのは不可能ですから、やはり政治家の良識に訴えるしかないわけですが、良識よりも自らの選挙基盤ばかりを気にしている政治家が多いように思えてなりません。


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