中流層の上から下への転落?

給与階級別人数から二極化を考えると(2012.8.18)

 今日のテレビの朝ズバで、消費増税その他の影響が家計に与える影響について説明していました。

 いつもの紙芝居で年収500万と年収350万ぐらいの家庭で説明をしていましたが、まあ要するにどちらの家庭も増税等によって、年間20〜30万程度の負担が増えると言うことですね。

 実際に税金が上がるまでに、その分の給料が増えるなら問題ありませんが、給料が変わらなければ、税金等が増えた分支出を減らさずるを得ません。

 海外旅行を国内旅行に変更し、旅行日数を減らし、外食回数を減らし、居酒屋でちょっと一杯の回数を減らし、貯蓄を減らし、とまあ少しずつ支出を削っていくことになるのだと思いますが、そうやって削れる人はまだ救われます。

 すでに旅行にも行かず、外食もせず、外で飲むなんてもってのほか、家でも発泡酒を1本だけ、貯蓄はゼロ、なんて言う方は、すでに削りようがないような気もします。

 「旅行を減らすしかないですねえ」というようなコメントが出来る家庭の場合はまだゆとりがあるわけで、そうでない場合行きつくところは、食べるものを減らすしかなさそうです。

 まさに中流の二極化ですが、実際問題現在の年収別の人数はどうなっているのか調べてみました。どの資料が良いのかなと調べていたのですが、国税庁に「平成22年 民間給与実態統計調査結果」というpdfファイルがあり、今これを見ながら書いています。

 上から順に見ていくと、先ず驚いたのが勤労者の給与総額の年次推移です。平成12年からの資料ですが、この年が216兆4558億円だそうですが、平成22年にはそれが194兆3722億円となっていて、年々減る傾向です。(だいたい1割ぐらい減っています)

 一方給与所得者の総数は平成12年が4493万9千人で、22年が4552万人となっていてこの間ほとんど変化がありません。つまり単純に考えて、一人一人の給料が減っている、または給料が上がらないと言うことです。
 
 また事業所規模別(それぞれの事業所で働いている人の人数)の給与を比較すると、予想通り規模が大きくなればなるほど給与の額も増えています。

 つまりしわ寄せが中小企業に片寄っていると言うことです。これは人数ではなく、事業所の資本金で比較しても同様のことが言えます。

 ではどういった事業の給与が高い傾向にあるのか?これはなんと電気・ガス・水道等の公共事業関連がトップで、全平均412万円の1.8倍近い値696万円です。

 こういった統計をマスコミがきちんと流してくれれば、東電の値上げに対してもっと多くの批判の声が上がったかもしれません。 (流していたかもしれませんが)

 で、今日のテーマの給与額と人数の関係ですが、このファイルの第14表に平成18年度から5年間の年次推移が出ています。

 数字が細かくて見にくいのですが、年次推移を追ってその特徴を見ると、特に給与が300〜400万の方のパーセンテージが増えています。一方それ以上の額では、その人数が徐々に減っています。

 と言うことは私の二極化という表現は間違いで、中流の上層から中流の下層へ落ちていく方が増えている、という事なのかもしれません。

 しかし年収350万で子供が二人いたら、教育費だけで年間相当量が必要でしょうから、節約なんて気軽に言って対処できるような経済状態ではないように思います。こういった統計を見ると所得税の配分比率を見なおした方がよいようにも思えます。


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