中流層の上から下への転落?(2)

給与水準の低下(2012.8.19)

 中流層の上の方達の給料が度重なる減額や、昇給停止により少しずつ減らされ、その上で団塊の世代の大量退職により、給与額と人数の統計を見ると、徐々に中の下、という層が増えつつあると書きました。

 一方で、一部の企業のCEOは年俸何億という水準の所得があり、「それでも欧米に比べれば日本は奥ゆかしい方だ」とコメントしているのを聞くと、給与水準の裾野は限りなく広がっているといえそうです。

 つまり一握りのトップが年収何十億というお金をもらい、もう一方で真面目に働いても年収150万とか200万という層が増えているということです。

 どうしてそうなったのかといえば、企業間の競争を強く促し、コスト削減をしながら、企業本体の資本を強固にし、そのために人件費を抑えるということをバブル以降ず〜っと続けてきた、と言うのが原因かなと思えます。

 本来自由な競争を行えば、企業同士が切磋琢磨し、より強固な体制をもった企業活動が出来るはずでした。

 しかし、コスト削減のために、なぜか人件費削減を優先したためフリーターや派遣社員の比率が大きくなり、企業本来の開発力や創造力が弱まったように思います。(私は公務員でしたから企業経営については素人です。あくまで個人的な感想です)

 その結果、後から追いついてきた韓国や台湾の企業に次々と追い抜かれるという事態になり、先日もシャープがリストラと共に身売りするような記事が出ていましたが、こういった企業が今後も出てくるのではないでしょうか。

 自由競争社会においては転職や再就職が当たり前だと思いますので、本来はドライにこっちの企業が駄目ならあっちの企業で自分の能力を活かそう、という発想になるはずです。

 一方、企業側も昔の終身雇用の意識が残っていて、雇用される側も寄らば大樹とか、自由競争という波に意識改革が追いつかないことにより、フラフラと彷徨う人が増えてしまったのかもしれません。

 ある意味本当の自由競争にいたる過渡期なのかなという気もしますが、それでも根底に横たわる大きな問題は少子化ですね。しかも少子化なのに就職難というのは矛盾しています。如何に日本の企業や経済が疲弊しているかということだと思います。

 ではどうしたらよいのか?社会学者や経済学者ならどうコメントするんだろう?といつも思っていますが、現状を分析したり批判したりする人は多いみたいですが、未来を語る人は少ないように思います。

 個人的には、日本は製造業ではなく、農業立国や観光立国、または情報立国を目指すべきではないかなと思っています。

 食糧危機が叫ばれる中で、農業や漁業をもう一度見直すとともに、そういった場所で働いても良いという外国人をどんどん招く。それによって硬くなった島国日本人の頭を柔らかくし、さらに少子化の問題も解決を図る。

 滞在型のリゾート地を各地に作り、そこで一週間から一ヶ月ぐらいのんびり滞在してもらう。(ハワイやバンコクに来ているリゾートを楽しむ外国人は、日本人のようにせかせか動き回らず、一定の土地に滞在して周囲の観光を楽しむという意識が強いです)

 さらにグーグルやヤフー、ツイッター、フェースブックに代表されるような、情報産業の育成を目指す、なんてことができればいいなあと思っています。

 まあ夢物語ですが、一般庶民がこんなことを夢見るほど、日本の経済は硬直、疲弊していると言わざるを得ません。さらに言うと、それを助長しているのが、政治なのかなとも思えます。


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