本気で節約するなら

実質賃金目減りで家計負担は増加(2015.3.29)

 私がハワイで遊び呆けているとき、日本では大企業のベースアップが次々と発表され、それに伴って株価も上昇。「こりゃ、いよいよ日経平均は2万円越えか」なんていう雰囲気になっていたようです。

 というわけで、当然その景気の良さそうな話に飛びついて、買いを入れた投資家も多いと思うのですが、その後なんとなく盛り上がりに欠ける雰囲気になっているように感じられます。

 主たる理由は不明ですが、今日の毎日新聞朝刊の3面見出しに「実質賃金目減り 特売には長い列」という文字が見られ、要するに経済活性の一番基本的な消費者の消費行動が、消費増税以来まったく回復していないということなんだなと感じました。

 確かに一部のデパートでは高級品が売れるという傾向もあるみたいです。これは株に投資するような余裕資金をふんだんに持っている人が、株価上昇で恩恵を受けている証拠だと思われますが、だとすれば現状は経済格差がさらに広がっているとしか思えません。

 新聞にはグラフも出ていて、確かに安倍政権がPRしているように有効求人倍率は上昇しています。従って、国会答弁でもこの倍率が上昇しているということを強調しているように聞こえましたが、一方で実質賃金のグラフは常にマイナスの値となっていて、いっこうに回復の気配が見えません。

 さらに住宅着工統計もマイナス。消費支出もマイナスが続いているようですから、どうみても経済が上向いているように見えません。要するに実態のない株価上昇が続いているということになりそうです。

 そんな世相を反映してか、記事には安売りスーパーに遠方から客が来て長い列を作っていると書かれています。私の近隣のスーパーでも、安売りの広告が入ると、その日だけは駐車場が大混雑しますので、皆さんかなり意識していることは間違いないようです。

 しかし一方で、安売りに殺到する客のほとんどはマイカーで来るという現状にも不思議な感じがします。私は暖かくなってきたので、買い物は自転車に移行していますが、もし大多数の消費者が車でガソリンを使って、遠方のスーパーに行き、安い商品を買っているのだとしたら、これほど無駄な生活もないなと思えてしまいます。

 最近の車は燃費が良くなっているとはいえ、街中を走り回れば1Lで10〜20kmぐらいでしょうか。つまりガソリン代1L 130円ぐらいで10〜20km走ることになります。

 今仮に片道5kmぐらいのところに安売りスーパーがあって、そこへ車で行くと往復で10kmですから、ガソリン代は65〜130円ということになります。

 もし自転車で行けば、時間はかかりますがこのコストはゼロ。一方3日に1回、こういったスーパーに車で通えば、月10回ですから650〜1300円がガソリン代として必要になります。

 果たして安売りスーパーに車で行って、その金額に見合ったコスト削減を行うことが出来るのか?結局多少高くても近いところで、買うものを限定して買ったほうが節約になるのではという気がしています。

 ましてや、安いからという理由だけで大量に買い込み、食べきれずに捨ててしまうなんてことは、無駄遣い以外の何物でもないように思います。食材に対しても冒涜ではという気がしています。(生ごみ収集の日に、未利用の大量の食材が捨てられているのを見ることが多いです)

 しかしグラフから分かるように、家計負担がますます重くなっていることだけは事実ですから、節約を意識するのであれば、たとえ家計であっても企業の収益と同じような発想で、コスト削減を徹底するしかないような気がします。


表紙に戻る 退職後の家計(2) 物価上昇への抵抗