浪費しないと成り立たない経済

賢い消費者が増加?(2016.4.21)

 今日はちょっとだけ薄ら寒くなりましたが、ひところの寒さを考えれば暖かい日が続いています。暖かくなってきたので、出しっぱなしだったファンヒーターを収納しました。

 同時に衣料品を厚手の冬物から春物に少しずつ変えています。ついでに明らかに古くなったと思われるものを思い切って捨てているのですが、これがなかなか決断できない。

 生地が破れて穴が開いていたり、ボタンが取れていて代わりのボタンがない、袖口や襟の黒ずみが洗濯しても消えないようなものなら、「まあしょうがないか」と思えるのですが、それほど利用する機会がなかったものは、どんなに古くても、ついもったいないと思ってしまいます。

 とはいっても、実際に保管しているだけで、それを着て出かけようなんて思えるものはほとんどないわけで、それを考えるとあってもなくても同じで、むしろ邪魔なだけですが、それが分かっていても決断できません。

 しかしそうやって、ほとんど着る機会がないままに古くなってしまった衣類を見ていると、「なんでこんなものを買ってしまったんだ」と思わざるを得ません。

 早期退職後、コストパフォーマンスという言葉がよく頭の中で聞こえています。

 新車で300万円の車を買って10年乗れば、1年あたりは30万。中古車で150万の車を買って6年乗れば1年あたり25万。安そうに思えますが、中古車の場合は6年後には買い替えなくてはいけないわけで、だとすれば最初から頑張って新車を買った方がいいのかも、なんて考えたりしています。

 しかし中古車で12年という期間で考えれば、2台買って300万になりますが、それで12年間乗れるわけですから、結局中古車の方がいいのか、とか考えてしまいます。

 同様に衣料品でも1万円のブランド品を買って10年着続けるのと、3000円のものを買って5年で買い替えたら、5年ごとに新しいものを買い替えることができる方がいいのではと思えます。

 そう考えていくと、逆にともかく買うときは慎重にという態度が身に付き、買ったものはともかく壊れるか使えなくなるか、どうにもならなくなるまで使い切るというのが、一番賢い消費態度なんだろうなと思えます。

 ところが日本経済は、こういった賢い消費行動をする人が増えると成り立たないようです。ともかくどんどん無駄なものを買って散財してもらい、既存のものはすぐにバージョンアップさせ買い替えてもらう、という事を前提にコマーシャルが日夜流されています。

 金融緩和をして、市中にお金をどんどん流し、それでも誰も消費しないので、今度はマイナス金利まで導入しましたが、必要なものはすでにある、欲しいものは我慢する、本当に必要なものが安くなった時だけ買う、という消費者が増えているので、結局政策はからまわりしている気がします。

 金融緩和やマイナス金利を考え出した人は、基本的に生活条件に恵まれていて、お金を自由に使える立場の人が多いのだと思います。

 そんな人たちが、金さえ渡せばきっと消費に回るだろうと考えているわけですが、実際には余裕資金があれば貯蓄して老後に備えようと考える人が多いのだと思います。

 まあ暴論ですが、折角のマイナス金利ですから、お金を借りたら、返済は借りた額より少なくて済むみたいな制度が出来ればいいのかなという気もします。

 1000万借りて、それを消費したら、返済は900万で良い、なんて言われたら、私も必死に消費行動に走るかもしれません。 


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