税収55兆円で経済対策20兆円

外国人観光客減少、国内消費も減少、活路はどこにある?(2016.7.21)

 今日の朝刊に、今年上半期の訪日観光客に関するいろいろな数字が出ていました。1〜6月のデータですが、外国人旅行客数は約1171万人だそうで、昨年比28.2%増だそうです。

 なんと日本の総人口の1割近い観光客が日本に来ているという事になります。これは半年の数字ですが、1日に直すと64000という数字が出ました。つまり毎日全国の空港に64000人の観光客が降り立っているという事です。

 ある意味喜ばしいことなのかなと思いますが、残念ながら1人当たりの消費額は約16万円で1割減。要するに高級品は売れなくなったし、爆買い傾向もなくなってきたという事です。

 特に一人当たりの消費は中国人観光客の消費が約−23%の22万円となり、大幅減少。私がつい先日銀座に行ったとき、外国人の姿がめっきり減ったなあと感じたのは正しかったようです。特に爆買いをあてにして、でかでかと「免税」という看板を掲げたお店は、従業員さんの姿ばかりが目につきました。

 原因ですが、時ならぬイギリスのEU離脱問題もありましたが、その前からじわじわと進んでいた円高の影響が大きいです。消費額が1割減と上に書きましたが、一時期120円程度だった為替が、100円ぐらいまで円高になりましたので、外国人観光客にとっては、すべてが実質2割の価格アップに感じられたと思います。

 また中国では、新聞記事によれば、政府が海外で購入した商品への関税を引き上げたらしく、そのため高額商品の購入が減ったという原因もあるようです。

 一方その記事のすぐ下には、6月のデパートの売上高が、前年比−3.5%になったという記事も出ています。どうやら外国人観光客の買い控えの影響もあるようですが、爆買い爆買いと騒いで、日本人の消費者を軽んじたつけもあるのではと思っています。

 またコンビニは、猛暑の影響でアイスクリーム等の売れ行きが良いようで売上高は昨年比0.8増。しかし来客数は0.7%減だそうですから、涼しければ売り上げは減っていたと思われます。

 というわけで、外国人観光客の消費は為替レートに左右されるという事がはっきり数字に表れ、一方国内の消費はじわりじわりと減少しているという印象を受けます。

 となると、どうやったら経済が上向くのか?ここ数日再び円が円安方向に動いていますが、これは日銀がさらなる金融緩和をするかもしれないという予測で、早めに円を売っておこうと考えている人がいることを示しているのだと思います。

 という事は、日銀も政府も、更に企業もさらなる円安を期待し、日本人のこれ以上の消費は期待できないので、外国人に物を買ってもらうしかないと考えているという事だと思います。

 しかしそんな経済政策で本当に良いのか?今日のヤフーニュースでは経済対策20兆円というような、私から見ると馬鹿げた若しくは大風呂敷に思える数字が出ていましたが、選挙で自民党に投票した人はそういったことを期待していたのかもしれません。(なぜ馬鹿げたと思うかと言えば、年間の税収が55兆円しかないからです)

 しかも何らかの経済対策と称して大きな金額を支出するたびに、国家の財政は逼迫していきます。つまり私の年代ではなく、私の息子の年代にそのツケが回っていくはずだと思えます。

 それでいいのか?という事を考えるための選挙だったような気がしますが、今回の結果は「それでよい」という道を選んだことになってしまいました。さてどうなるのか?

 ともかく国はどうであろうと、自分の家族の家計だけは守らなくてはならないと考える人が、今後もさらに増えるような気がします。


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