将来の生活イメージと現状把握から

高校の進路指導と大人の資産形成(2013.11.11)

  性格を変える、というのは至難の技です。正直なところ、いつか気がついて生き方も変わるだろうなんて思って見過ごしていると、そのままズルズルと悪い性格を引きずったまま一生を終える、なんてことになりかねません。

 私の仕事は教員なので、フルタイムで働いているときは、「どうやったら勉強時間を確保できるか」「勉強をする気になるにはどうしたらよいか」「地道に努力をする性格にしたい」という相談をよく受けました。

 当然質問してくる生徒の大半は「もっと勉強時間を確保したいのに、実際にはつい遊んでしまったり、ダラダラと過ごしたりしている自分を発見して、どうしよう?」と悩んで相談に来るわけです。

 しかし教員側から見ると、こういった「何とか少しでも勉強時間を確保しよう」という意識のある子はそれほど問題ないと判断できます。

 つまり自分自身の行動様式をきちんと認識していて、そこから次にどうしたらよいかというステップを踏み出そうとしているからです。

 逆に教員の立場からして問題だなと思えるのは、

1.将来の目的、展望がない

2.自分の興味、関心、適性にまったく関心がない

3.日々、感覚的に単純な面白さだけを求めている

というような生徒です。こういった子達に、如何に将来の展望を持たせて、勉強の必要性を認識させるのかというのが、進路指導を担当したときの大きな悩みでしたが、結局正直なところあまりうまい指導は出来なかったなと思っています。

 ただ、私は高校生が相手でしたが、1年生入学時から3年生卒業時までの3年間でどのような進路の位置づけを行い、どうやって関心を持たせていくか、というような3年間を見通した進路指導の道筋は作ることが出来たと思っています。

 つまり3年計画で意識の改革を図ったと言うことです。前置きが長くなりましたが、今回テーマとして考えている資産形成への意識改革も、ある日突然資産形成の道に目覚めてそこから一挙に資産増大というようなことはほとんどあり得ないと言うことを言いたいだけです。

 勉強嫌いの子に進路を考えることの重要性を解き、そのためにはこのような努力が必要だという具体例を示し、それを少しずつ実行させるというのが進路指導だと思いますが、資産形成への意識改革

1.自分の将来の生活への関心

2.自分の現状の生活実態の把握

3.資産形成という意識を少しずつ醸成

4.少しずつ実行

という流れになるのかなと思います。まあ簡単に言えば、宝くじのように、ある日突然数億円が当選するというラッキーな事件が起きない限り、資産の形成というのは意識改革から始まり、それを徐々に実行していくため長い年月が必要だ、と言うのが基本だと言うことです。


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