「豊かな」=「金がある」ではない?

豊かな老後生活を送るための必要資金(2013.11.12)

  豊かな老後生活を送るには60歳時点でいくらぐらい貯蓄が必要か?と言うことが常に話題になっています。これを知るためには、先ず年金収入の総額を知る必要があります。

 国民年金や厚生年金の額は、退職が近づくに連れ、徐々にその金額が分かってきます。特に国民年金については納付年数さえ把握できれば、満額(40年)は現在年額786500円ですから、あとは自分の納付年数で比例計算をすれば概算値が分かります。 (30年なら786500円の4分の3ぐらいの金額だなという計算です)

 実際生活では、すべての人が満額を受給できるとは限りませんので、今仮にこれを月額6万とします。

 一方厚生年金の平均受給額は独身者と妻帯者では計算がまったく異なりますので、ここでは私のような独り者を対象にしますが、これを仮に月10万とします。

 とすると独り者の場合、上記の国民年金と合わせて月額の収入は16万となります。年収に換算すると16×12=192万です。この収入が65歳から15年間続くとすると192×15=2880万という数字になります。これが60歳以降何もしない場合の年金の総収入になります。

 次に支出を考えるわけですが、マネー雑誌などでは常に「豊かな老後」という語句が出てきます。しかし実はこの定義が一番難しいと感じています。

 基本的には、「豊かな」=「金が豊富な」ではない、と私は思っています。結局自分の老後の人生のどこに価値観を見いだせるかだと言うことです。

 しかしこの価値観は十人十色、千差万別です。毎日朝昼晩コンビニ弁当を食べ、日中は図書館で借りてきた本を読んで過ごしていれば大満足と考えることが出来れば、基本的には食事はコンビニ料金だけになります。

 私の場合は、旅行に行くことに価値観を見いだしていますので、生活費以外にその旅費が大きな額になっています。

 一般的には趣味に価値観を見いだす人が多いと思いますが、趣味の範囲もお金がかかるモノからかからないモノまで多種多様あり、日頃の食事一つとっても、夕食は牛肉じゃないと嫌だと考える人から、家庭菜園で作った野菜にちょっと豚肉を加えて野菜炒めを作れば充分、と考える人もいるはずです。

 こういった将来の生活イメージと言うか老後に実現できそうな夢と言っても良いと思いますが、これらが具体的な像であればあるほど、豊かな生活のイメージははっきりしてきて、それによって支出もはっきり見えてきます。 

 支出がはっきりみえれば、上記の年金収入総額との差もはっきりしてきます。何回か紹介していますが、我が家の今年の生活費(4月から10月まで)の平均は約12万です。

 実際にはこれ以外に税金や保険料、車の維持費等で年間50万程度の支出がありますので、生活費と合わせてどうしても必要な支出総額は200万ぐらいになります。(実際にはこれに旅行費用や、臨時費用として息子の学費、中古車購入とか家のリフォーム代も加算されています)

 もし仮に、支出総額を旅費等を含めてちょっと余裕をみて250万と考えると、20年間で5000万の支出となります。一方上記の例で収入は2880万ですから足りないのは2120万程度の貯金がないと今の暮らしは続けられないという結論になります。

 ただし実際には、やがて息子は大学を卒業するはずで、そうなると生活費は減るはずだと予想しています。つまり250万という支出が今後も続くわけではないと言うことなのですが、こういったことまで考慮するようになると、年度ごとのシミュレーションが必要になってきます。


表紙に戻る 投資一般 銀行のうぬぼれ?