誰もが上がるぞと確信するとき

「世界的株高、行き過ぎを警戒したい」という社説(2015.3.1)

 私がそろそろ株は危ないんじゃないかと感じるのは、本屋さんに行った時、これなら日経平均20000円もありえるとするような論調の経済雑誌や週刊誌が増え、それを熱心に呼んでいる人を多数見かけるようになったからです。

 まあいかにも素人の判断ですが、株というのは不思議なもので、上昇基調になると欲しくなり、下がってくると見たくないという心理的側面が強い商品だと思っています。

 そして誰もが「これなら株はこれからもどんどん上がる」と思って買いに入る頃、まったく予想できなかったことがきっかけになって、最初はチョロッと下がります。

 当然チョロットだけですから、誰もが上昇基調にあると思っている中では、「またすぐ回復するさ」という心境になって、買い続けたり保有を続けたりします。

 ところがまたさらにちょこっと下がって、徐々に買値に近づいてきたり、突然日経平均が大きく下がったりします。そうなると徐々に不安が増します。

 そこでどうするか悩むわけですが、思い切って保有銘柄を手放す人もいます。しかしその後に急に上がったりすると、「失敗した」と嘆くわけです。(私のことです)

 一方、「まだまだ相場は強い」と判断し、「この先すぐに回復するさ」と考え、株を持ち続ける人もいます。しかしそういうときに限って、すぐにまた株価は下がり、やがて買値を下回り、今度は売るに売れずに塩漬けということになります。(これも私です)

 というわけで、「下げ相場では、どう転んでもうまくいかない」という結論になるのですが(もちろん空売りといった手法もあるようですが)、そういった状況に陥る前の判断材料を冷静に見極めないといけないなと、最近ようやく思うようになって来ました。

 昨日こういったことを懸念して記事にしたわけですが、今日の毎日新聞の社説で「世界的株高」「行き過ぎを警戒したい」という記事があり、「やはり、変だと感じている人が増えつつあるんだ」という思いを強くしました。

 だからと言って明日の月曜から暴落が始まるとは思えませんが、物価高で消費者の消費に関する感覚は萎縮する一方なのに株だけが上がるというのは、やはり不思議な気がします。

 つまり経済的な裏づけのない株高ゲームになりつつあるということで、最後はババ抜きとなり、ババを引いた人が大損をするというのが、これまでの相場の常識でした。

 さてどうなるか?投資は余裕資金でというのもまた日ごろから言われていることですが、「上がるぞ」と誰もが言い出すと、「もう少し資金を増やすか」と考える人も多くなります。

 そういった層ががんがん買い始めたときが一番危険であるというのが、バブル崩壊のときの教訓です。今の相場はミニバブルだと私は思っているので、いつどのような形で撤退するのかを考えないといけないなと思うようになってきました。


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