足るを知る

曽野綾子さんの「人間の分際」という新書の目次を見て(2015.7.29)

  今日の新聞の下段広告に曽野綾子さんの「人間の分際」という新書版の広告が出ていました。題名もなかなかインパクトがあると思いますが、サブタイトル?も面白い。

 「やればできる」というのは、とんでもない思い上がり。と書かれています。

 まあ人間誰しも、若い時には無限の可能性がある、なんて言われて育っていきますが、年月を重ねれば重ねるほど自分の限界が明らかになっていきます。

 私のような凡人から見た一流の人であっても、この悩みは尽きないと思われ、よく人間国宝と言われるような人がインタビューを受けて、「まだまだ修行中」なんて答えていますが、達人だからこそ、その先が見えるということです。

 しかし先は見えても、やればできるかというと、なかなかそんなうまくはいかない。結局先を見据えて少しでも近づく努力をするという、ごく当たり前の日々の行動が大事という結論になりそうです。

 本の内容に戻ると、目次らしきものが書かれていて、これを見ているだけで、内容を読まなくてもなんとなく「まさにその通り」と膝を叩きたくなります。

 一例をあげると、うまくいかないときは「別の道を行く運命だ」と考える、なんてのは示唆に富んでいます。私が早期退職を決意したときにも、そういった感情があったように思います。

 誰からも嫌われていない人は一人もいない、なんてのもありがたいです。八方美人という言葉もありますが、あらゆる人にうまく対応することは不可能。どうしても意見やソリが合わない人が、フルタイムの仕事をしているときにも何人もいました。

 そういう場合は、当たらず障らず事務的に、というのが私の対応方法ですが、時にかカチンと来ることもありますね。また逆に上司の中には「こいつだけは絶対に許せない」と感じた人もいました。

 「もっと欲しい」という欲望が不幸を招くなんてことも書かれています。足るを知る、ということだと思いますが、欲しくなると居ても立っても居られないという性分の人がいることは確かなようです。

 なぜ欲しいのか、どうして必要なのかということを考えるまでもなく、欲しい欲しいと突っ走る人です。私の場合は欲しいと思っても、少なくとも3日間、場合によっては1年近く購入を悩むことが多いです。

 だいたい1年も悩んでいてほしいと思うものは、どうしても必要なものであり、一か月程度の悩みで買ってしまうものは、すぐに飽きてしまったり、使わなくなってしまったりするものが多いなと感じています。

 感謝することが多い人ほど幸せになれる。ということだそうですが、どちらかといえば短気だった私は、以前はこれが苦手でした。しかし年齢を重ねて、「みんな人それぞれ頑張っているんだ」と思ったころから、気持ちが徐々に軟化。

 ハワイに行くようになって、欧米人はサンキューを多用しているなと感じたころから、日本語の「ありがとう」という言葉も、実はすごく大切な言葉なんだなということが分かってきました。

 ちょっとした出来事で「ありがとう」と言えるかどうか、そのタイミングはなかなか難しいものがありますが、互いのコミュニケーションを和らげる働きがあるのは間違いなさそうです。

 最近は道で出会っても挨拶をする人が少なくなったのが残念ですが、この挨拶も本来はすごく大事なんだろうなと思っています。


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