マニュアル通りの不毛な?サービス

飛行機のファーストクラスに乗る人たちの物腰(2016.1.12)

 昨日と似たようなことを書きます。先日いつものように本屋さんで面白そうな本を立ち読みしている時、飛行機のファーストクラスに乗る人たちの立ち居振る舞いについて、現役フライトアテンダントさんが書いたと思われる書籍がありました。

 「ふむふむ、実際どうなんだろう」と思って最初の方を少しだけ読んでみました。私自身海外旅行に行く頻度が増し、1年に1回程度はビジネスクラスに乗る機会もあります。

 実際にはビジネスクラスとファーストクラスでは、大きな隔たりがあるとは思いますが、その立ち居振る舞いが参考になるなと思ったからです。すると、こんなことが書いてありました。

 飛行機に搭乗するとき、飛行機の入り口でフライトアテンダントが挨拶をしますが、ファーストクラスの乗客たちは、必ずフライトアテンダントの目をしっかり見て、声に出して挨拶するそうです。

 場合によっては、フライトアテンダントが声を出す前に、自分から挨拶をする人もいるということでした。また相手の目を見て挨拶をするので、自ずと姿勢が良くなると書かれています。

 なるほど確かに飛行機に乗るときの乗客の雰囲気を見ていると、結構下を向いて通路を歩いている人が多いです。足元が不安なせいもあるとは思いますが、その状態で飛行機の入り口に達します。

 そこで挨拶があり、搭乗券を見せて自分の座席を教えてもらったりするのですが、その場で挨拶をしたり、教えてもらって「ありがとう」と口に出す乗客はほとんどいないような気がします。

 さらにファーストクラスの場合は席に着いた後も、非常に気さくで落ち着いた振る舞いをする人が多いということでした。

 読んだのはこのあたりまでですが、要するに経営者と言われている人たちは、自分の身の回りにいる人との関係をひじょうに大切にしているということだと思います。

 読みながら、私自身は挨拶しているかなと自問自答。一応「もごもご」と言っているような気もしますが、次回からはもう少し姿勢や挨拶に気を付けようと思います。

 というわけで昨日の記事につながるのですが、サービスやおもてなしの精神がマニュアル化されてしまうと、それをきちんと実行すれば、日本独特の基本的なサービスは出来ることになりますので、それ以上のサービスは必要ないという結論になります。

 つまりマニュアル化された挨拶とマニュアル化された物腰で接していれば、とにかく客に不快感を与えることもなく、良い気持ちになってもらえるということだと思うのですが、そうなると温かみのある人間的なやり取りがどんどんそぎ取られて、ともかくマニュアル通りにサービスをしていればよいという意識だけが先行するような気がします。

 しかし、一方で消費者側も、ともかく早く買えればよい、通販で買ったら、できればその日に届けてもらいたい、いちいち言葉を交わすのは面倒という意識がありますから、不毛な空間がどんどん広がるということになりそうです。(私自身スーパーでセルフレジを使うことも多くなっています)

 そういった他者とのコミュニケーションが得られない潜在的なストレスは孤立感を生むと思うのですが、そうなると一人暮らし高齢者にとってはますます住みにくい世の中ということになりそうです。 


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