平均給与を時給に換算すると

民間給与は前年比1.4万円増だそうです(2015.10.2)

 テレビのニュースをボーっと眺めていたら、民間の給与が2年連続で増加したという羨ましいニュースが出ていました。昨年の平均給与は415万円だったそうです。

 前年より1.4万円増えたそうですが、ピーク時の1997年より52.3万少なくなったということで、それを考えると、まだまだ生活は苦しいと言うことになるはずです。

 ただ1997年の頃に比べて物価はどうかと考えると、それまでの値上がりに比べると、むしろデフレ傾向が強かったようですから、給料は減ったけど物価も上がらないので、結果的に年齢と共に昇給できれば生活は楽になったと言うことかもしれません。

 ただしそれは大企業のサラリーマンや公務員にいえることで、中小や零細企業はいくら働いても生活は楽にならないという状況が続いているようにも思えます。

 1997年というと、今から18年前。私の年齢は44歳。働き盛りで、ちょうど家を新築し住宅ローンの返済が始まって数年。一番家計が苦しかった頃かもしれません。

 年収は600万ぐらいあったような気もしますが、住宅ローンの返済も年間120万以上あったような記憶があります。一方で子供の教育費が徐々に増えてくる頃で、「こりゃ遺憾」と思って、なけなしの貯金をはたいて住宅ローンの繰上げ返済をして、返済金額の軽減を行ないました。

 その結果、支出も徐々に増えましたが、貯金できる金額も少し増え、その貯金でまたローンの繰上げ返済を行なったり、金利の安い銀行に借り換えを行なったりと、いろいろ工夫をしていた時期です。

 しかしこれは結果的に正解でした。というのも、住宅ローンを設定したころは、私は地方公務員でしたので、給料は右肩上がりに上がるから、ローンの負担はどんどん減るだろうと思っていたのに、実際には40代後半から公務員給料への風当たりが強くなり、実質的にほとんど給料が上がらない状態になったからです。

 つまり早め早めにちょっと無理をしてローンの繰上げ返済を行なった結果、給料は上がらないけど貯蓄できる金額は増えたと言うことです。

 というわけで私の場合はたまたまうまくいきましたが、最近はパート労働者や派遣労働者の割合が増えているため、政府やマスコミが年収が上がったと騒いでいても、その恩恵を受けているのは限られた人ではないかなという不信感があります。

 どこかの新聞で、思い切ってパートの時給を1000円以上にしたらどうかなんていう提言が出ていましたが、正社員と同じような仕事をするパートの方がいたとしたら、これは当然の要求ではないかと思います。

 年収415万(含ボーナス)ならば、一ヶ月は35万ぐらい。25日働いたとして1日1.4万。8時間労働なら時給1750円です。現実はその半額程度ですから、まさに企業に労働を奉仕していると考えてもおかしくない水準です。

 そう考えると、今の労働環境がいかに馬鹿馬鹿しい規則で成り立っているかと腹がたちますが、さらにそういった安い労働力を生かして、良質の製品を作って自慢しているのが大企業です。

 これで良いのか?シニアの立場からすれば、皆さんが同じような仕事で同じ水準の給料をもらい、大きな金額の税金や社会保障負担をしてくれることによって、高齢者の福祉が充実するような気がします。


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