年金債を買うのは我々の貯金です

 個人にしろ企業にしろ、そして国家にしろ、破綻する事があるという現実を知ることは恐ろしいです。しかしいつそうなるかという時間的なことは予測が付きません

 予測がつかないので、大半の私のような庶民は、「きっとまだ大丈夫だろう」と一応国を信頼しているわけです。ギリシャ国民もたぶんそんな気持ちを持ちながら日々の生活を送っていたのだと思います。

 ところが政府要人がいくら「まだ大丈夫だ」と主張しても、周辺国がちょっとしたことをきっかけに「もうお前の国は駄目だ。救いようがない」と言い出します。もしくはこんな政権に任していたら「俺たちの生活に明日はない」と激しい反政府デモが起きます。

 そこにいたってようやく政府要人も事の重大さに目覚め初め、突如手のひらを返したかのように緊縮財政や税金増額等を訴え始めますが、こういった社会の流れは一度臨界点を越えてしまうと、あとはそのまま突き進むことが多いようです。

 従って先を見通せる頭の良い方は、国や世界の動きにそういった兆候がないかを常に意識し、その事を予想して動き回るわけです。

 私は経済問題は良く分からないのですが、今日(2011年11月21日)の日本経済新聞で政府は「年金債」発行を考えているということを知り、本格的に怖くなってきました。

 年金を支給するために債権を発行して借金をするわけです。その債権を誰が買うかというと銀行や証券会社でしょうから、要するに我々の貯金です。

 結局我々は自分が年金をもらうために、自分の貯金で債権を買い、そのお金が周りまわって自分の年金になるという構図になります。タコが自分の足を食べて生きながらえるようなものですから、いよいよ先行きは暗くなってきたなと思わせるニュースに思えました。

 更に翌日の新聞には、年金債の発行がほぼ正式決定されるようなことが書かれていました。これまでの債権は国が発行したものを銀行、証券会社、国民が買い、そのお金で国の運営を行うというものだと解釈しています。

 ところが年金債は、それらのお金で年金支払いが行われるわけですから、国民が買ったお金で65歳以上の老人の年金を賄うというものです。

 従って税金ではなく、国民全体の預貯金で年金を賄うという発想に思えてしょうがなく、政府は一時的なもので消費税アップが出来たらそれを返済にあてると言っています。

 つまり消費税がアップされてきちんと税額収入が得られるようになるまでは、自分の貯金が自分の年金に回るということになるわけで、気がついたらその貯金が全部年金に食い尽くされ、なくなっていたということに成らないとも限りません。

 またこういった手法が一度足とれるようになると、いつの間にか年金債発行が当たり前のようになり、通常の国債と合わせてさらに全体の債権いわゆる国の借金が増えるということになり、国家破綻が一層近づくような気もします。

 でもそれでは解決策はと問われると、年金減額、国家予算縮小以外に何も思い浮かばないところが辛いところです。


表紙に戻る 政治の動き 再雇用義務化