増税は必要かも
しかし大飯原発は必要なし

野田さん、小沢さんの協議と大飯原発再稼働問題(2012.5.31)

 消費増税に関する野田、小沢両名による話し合いは、予想通り物別れに終わりました。結果は最初から分かっていたことですが、まあ話し合って努力したけど駄目だった、と言うその誠意を国民に見せたかったということでしょうか。

 消費増税はやらざるを得ない、と主張する野田さんに対して、小沢さんは政権交代時に掲げた「無駄を省いて政策を実行する」というマニフェストをきちんと守らない限り民主党に支持率は戻ってこないと考えているように思えます。

 しかし新聞報道を読んでも、小沢さんの主張は一見理路整然としているものの、「消費増税の前にやることがある」と言いつつ何をやるのかをまったく語りません。

 従ってもし消費増税が行われなかった場合、現在山のように積み上がっている借金をどのように返済し、またデフレと不況下にある経済をどのように立て直すのかというビジョンが見えません。

 さらに言えば、同じ民主党内で、ことさら「私どもは」という言葉遣いで派閥の勢力をちらつかせながら民主党の方針に反対するという立場を鮮明にしているのは、やはり異様な光景です。

 私自身は消費増税が家計に与える影響を考えると必ずしも賛成とはいえないなと思っていますが、前回書いたように、税収入より借金の借入額の方が大きくなっている現状を見ると、小沢さんの主張には無理があるような気もします。

 しかも消費増税をしても収入増は13兆円ということですから、社会保障費の半額、国債発行額44兆円の3分の1にもなりません。

 結局ギリシャと同じで、予算そのものを一律それこそ20%、30%とカットし、同時に税金をあげるという無茶苦茶な法改正を行わないと解決方法は無いような気もします。

 もう1点。大飯原発再稼働問題ですが、関西広域連合から出された声明の要旨がよく分かりません。

 新聞報道に寄れば【「(政府の)原子力発電所の再起動にあたっての安全性に関する判断基準」は原子力規制庁等の規制機関が発足していない中での暫定的な判断基準であることから、政府の安全判断についても暫定的なものである。従って、大飯原発の再稼働については、政府の暫定的な安全判断であることを前提に、限定的なものとして適切な判断をされるよう強く求める】(引用終わり)

 と書かれていますが、すべての言葉が曖昧で、訳が分かりません。分かったのは
@ 現段階で原子力規制庁は発足していない

A 従って安全性に関する判断基準は暫定的なものである

B よって政府の安全判断も暫定的である

C そこで再稼働する場合はその暫定的な安全判断を前提にしなければならない

D よってその判断は限定的なものにならざるを得ない

 普通ならここまで論理的に読み進めてくると、よって結論は現時点では再稼働は認められない、と言うことになりそうに思うのですが、結局すべてが暫定的なので、後は政府が勝手にきめてくれ、と下駄を預けたようなニュアンスに聞こえます。

 こんな調子で再稼働が決められていくとすれば、暫定的な再稼働がいつの間に恒久的な再稼働にすり替わりそうです。


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