個人対象の国債発行額は激減

復興応援国債という広告が出ていましたが(2012.9.6)

 今日の毎日新聞朝刊5面の下の方に「個人向け 復興応援国債」の売り出しについての財務省の広告が出ていました。

 内容を見ると、「被災地の復旧・復興に役立てられます」と書かれていて、何か少しでも被災地の役に立てればという善意の精神をくすぐります。

 しかし所詮国債ですから、いずれは返済されるわけで、それを誰がどのように返済するのかはよく分かりません。被災地の復旧復興に役立てたんだから、復旧復興後に被災地の方に大きな税金を課し、それをもって返済に充てるなんてことはあり得ないと思いますので、満期が来たときの返済のお金は、また何らかの国債の発行に寄って賄われるのかなと思います。

 このブログでいろいろ国の政策や政治家の動き、そしてそれらが個人の家計に与える影響を書き続けていますが、こうやっていろいろなことに関心をもって世の中を見ると、経済に関しては本当に良く分からないことが多いですね。

 実は今回のこの国債発行の広告を見て最初に疑問に思ったのは、上に書いたことではなく、この広告費用を誰がどのように負担しているのか、ということでした。

 単純に考えれば財務省が発行していますから、財務省の予算と言うことなのだと思いますが、その予算も元を正せば我々の税金です。または銀行や個人が購入した国債のお金です。

 つまり自分のお金で広告を出して、自分のお金で国債を買っているわけで、広告費用は次の国債購入に上乗せされるのかなとも思えます。(よく分かりません)

 しかもこの広告をよく見ると、3年後の保有残高に応じて金貨や銀貨が贈呈されると書かれています。なんで金貨や銀貨なのだろう?その分金利の上乗せはできないのだろうか?またその特別な金貨や銀貨の製造費用はどこが負担しているのだろう?

 悩み出すときりがないのですが、これもまた我々の税金であるとしか思えません。裏を返すと、こういった「震災復興」とか金貨銀貨といった「おまけ?」をつけないと、個人は国債を買わなくなっているのではと想像できます。

 さらに言うと、個人は国債というものに不安を感じている。更にさらに言うと個人は国家の借金と政治の動きを見て、国家そのものへの信頼を失いつつあるのではと思えます。 そうでなければ、国債を買っている経済的余裕はない、ということなのかもしれません。

 そう思って個人の国債購入の推移を調べてみると、販売額が一番多かったのは平成17年で23374億円だそうです。それが平成19年あたりから激減して、半分以下の9624億円になり、平成21年には更に半減して5047億円、平成22年になると、また半減して2721億円。

 ピーク時の10分の1近くになっています。それでも昨年前半は東日本大震災もあり、6145億円に増えていますが、それでもピーク時の4分の1ですし、後半は反動?で1669億円に低下。

 しかもこの国債発行の流れを見ていると、最初は10年ものだけだったのが、平成18年から5年ものが加わり、平成22年には3年ものが加わってなんとか消化しているという状況がよく見えます。
 
 このペースで行くと今年または来年に個人向けの国債発行額は1000億円を割り込むかもしれません。その後どうなるのか?当面は銀行や証券会社が買うのだと思いますが、それすら行われなくなると、国債金利はいっきに上昇、ということになるのかなと想像していますが、現状ではその先がよく分かりません。


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