大学不認可と助成金

田中文科相の大学不認可問題(2012.11.8)

 オバマさんの勝利で、今後の日本との関わりはどうなる?とマスコミは騒いでいますが、衰退しつつある日本経済と、混迷している政治状況を考えると、オバマさんからすれば、「まあとりあえず日本はおいておいて、中国や韓国、ロシア、更には中東、ヨーロッパの問題から処理していこう」と考えるのが普通かなと思います。

 この期に及んでも、バブル期の経済大国だった過去の栄華?にしがみついて、日本が世界をリードする国だという政治家や大企業幹部もいるようですが、いい加減頭を切り換えて、現状をきちんと見つめて、その中で出来ることを考えてもらいたいと思います。

 そういった意味で、今後ももし再び世界に影響力を及ぼすような経済大国になろうとするなら、やはり古い体質を脱ぎ捨てて、まったく新しい発想をしないといけないと思います。

 しかし新しい発想をしようとすると、すぐに今までとやり方が違う、とあちらこちらから文句が出ます。また痛みも伴います。

 今回田中文科相がそのやり玉に挙がり、かなり叩かれたイメージがありますが、おおかたの意見は「方向性は良いが、やり方がまずい」というものでした。これは私も同感です。

 そもそもこの10〜20年間に、少子化といわれながら、どうしてこんなに大学が増えるのか不思議でしょうがありませんでした。

 大学設置基準があって、更に委員会で審議し、文科省が認可するという流れになっているのだと思いますが、私立大学の場合はやはり教育の志だけでなく、利益を得るという目的があるはずで、その意味では大学設置は利益が得られる商売なのかなと素朴な疑問を感じていました。

 特に最初は専修学校を経営していた学校法人が、次々と大学を設置している状況を見ると、やはり何か国からの補助金等の旨味があるのかなと勘ぐってしまいます。

 今回やり玉に挙がった三校の名前は全国的に有名になりましたから、ある意味宣伝効果もあったかなという気もしますが、来年の春、実際に受験する生徒が何人ぐらいでるのか、逆の意味で注目されるのではないでしょうか。

 ちなみに8月27日の日本経済新聞の記事では「私大の45.8%が定員割れ、今春、3年ぶり4割台」という記事が出ています。

 記事では、私大にとってはひじょうに厳しい経営環境が続いている、と紹介されていますが、そういった環境の中に、あえて新たに大学を作って飛び込んでいく理由はいったい何なんだろうか?と考えてしまいます。

 また記事では都市圏は順調だがそれ以外の地区が厳しく、特に東北が悪化と書かれています。今回いったん不認可となった大学はいずれも都市圏からは離れている学校で、経営が成り立つのかなという危惧を感じます。

 一方大学や短大、高等専門学校には運営のための経常費補助金というお金が税金から交付されています。この金額が平成22年度は約3200億円だったそうです。  

 教育に力を入れると考えるなら、もっと増やしてもと考えることも出来ますが、定員割れを起こしてしまうような学校にもこの補助金が交付されているかと思うと、我々の税金からの支出ですから、ちょっと疑問を感じます。 


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