使ってしまったら返還請求できない?

復興予算、返還請求はポーズ?(2013.7.3)

 私の今の仕事は非常勤講師で、高校で物理を教えています。どちらかというと理論派と言うより実験派に近いので、いろいろ自分で考えて実験を行っています。

 実験を行うときは、どうしても必要な物以外なるべく身近な道具を使うようにしています。先日はバネの実験を行いました。100円ショップで売っているようなプラスチックのバネに、釣具店で売っているような鉛のおもりをつけて、バネ定数を測定したり、単振動の周期を測定するという実験です。

 で問題は実験道具です。ある程度実験を良く行う先生がいた高校には、結構こういった小物が揃っていますが、そうでない場合は新たに購入するしかありません。

 しかし教育現場への予算の締め付けはひじょうに厳しく、正規の教諭でない非常勤講師が予算請求をするのは心情的に厳しいです。たいした金額ではないのでお願いすれば支出してくれると思うのですが、非常勤講師は1年契約ですから、その後購入した道具が再度活用される保証もありません。

 そこで選択をせまられます。実験を行うかどうか。行う場合実験道具はどうするか?予算執行、自腹?と考えて、結局以前勤務していた学校に行って借りてくることにしました。

 当然借り賃は無料ですが、その学校に行くまでの時間的ロスや交通費は自腹です。このあたりもう少し融通が利くと良いのになあと思いつつ、生徒が嬉しそうに実験に取り組む様子を想像すると、「まあいいや」となります。

 というわけで、数百円の予算執行にもかなり神経を使っているのですが、こうゆう観点から復興予算の使い道を考えると、腹立たしさが頂点に達します。

 今日の新聞では復興庁と財務省が全国の自治体や法人に配分した1兆1570億円の内、1兆142億円は執行済みで、残った1428億円の内1000億円を国に返還するよう求めると言う事みたいですが、目的外使用が分かったのはかなり前で、それがようやくここに来て返還請求という決断の遅さが先ず不満。

 次に使ってしまったから返還は不可能、と勝手に判断しているところも、不愉快。もし私が実験費用として5000円請求して、それを自分の白衣等の代金に充てていたら、これは弁償するのみならず、私自身の懲戒に発展する出来事だと思います。

 しかしそれが自治体単位になると、「使ってしまったものはしょうがない」と判断されるようで、これは理屈に合いません。予算執行を決断した管理職や知事は、目的外使用として懲戒処分の対象になっても良いような気もします。

 そういった厳しい姿勢がないので、結局なんだかお金が余っているみたいだから、早い内にどんどん使っちゃえ、という事になり、無駄なお金がどんどん執行されると言うことなんだと思います。

 しかも新聞を読んでいると更に腹立たしいことに、返還請求はするものの、その請求に法的拘束力はないということみたいですから、返還請求には知らんぷりをして、今後もどんどん執行してしまえばいい、と言うことになりそうです。

 税金で得たお金は全部自分たちのもので好き勝手に使えるんだと言う発想が予算を配分する側にもあるので、厳しい姿勢で臨めないということなのでしょうか?元公務員としては残念極まりないです。


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