今後の社会保障は
高齢者と高所得者が負担?

高所得者の負担増は聞こえがよいですが?(2013.7.31)

 昨晩9時半に自宅に戻り、5日間分の新聞をざ〜っと拾い読み。東電の汚染水対策の杜撰さが浮き彫りになっているようですが、東電さんは事故対策より柏崎の再稼働に関心が移っているようにみえてしょうがないです。

 しかし再稼働より事故処理だろうと強く主張する政府関係者がいるようにも思えず、半分国有化された東電であるにもかかわらず、政府はその対策を任せっきりにしているように思えます。

 つまり指導力がないということで、もしかしたら閣僚のほとんどは原発の原理や放射線に対する充分な知識もないのではないかと不安になります。

 次に気になったのが、政府の社会保障制度改革国民会議の報告書原案の内容。29日の毎日新聞の記事の題名は「社会保障負担増 不可避」というもので、さらにサブタイトルに「高所得者に求める」とあります。

 これまでの考え方と大きく違うのは、負担の基準を「年齢」から、「経済力の有無」に移行するというものです。

 「おっそれなら公平感が出るか」と思ったのですが、そのすぐ後に「国民負担の増大は不可避」という見出しもあり、要するに経済力で負担を増やし、さらに全体の負担を増やすという意味かなと思えました。

 さらに30日には「年金課税を強化」、「高所得者層 標的に」という記事も出ています。内容を見てみると、公的年金などの年収は120万円までが所得はゼロと見なされるそうで、これが言葉として好きになれませんが、「低所得者」だそうです。

 つまり120万円を越える人は課税されると言うことですが、330万円未満までは、120万円が差し引かれた額が課税対象額になるとのことで、そうなると課税対象額が低くなり、保険料軽減処置が受けられる場合があるそうで、それらの境界を明確にするため、真の所得額を把握する制度が必要になるとしています。(要するに本当は金があるのに軽減処置を受けている人がいると言うことでしょうか?)

 しかし現実問題として、真の所得額の把握は必要だと思いますが、120万の所得だけでは基本的な生活はかなり厳しいはずです。しかもこの額はいわゆる生活保護費よりも少ない額だと思います。

 さらにその他の負担増として
・ 高齢の高所得者層(高所得者の年収の定義が不明なのでどうとでも解釈できます)に対して、介護保険の自己負担割合をアップ
・ 現役世代に対して国民健康保険料の上限額(65万円)の引き上げ
・ 高額療養費の上限を、低所得者は下げ、高所得者はアップ
・ 紹介状ナシの大病院への診察費の自己負担額増
・ 以上は消費増税をした場合であって、しなければさらに負担増?

 低所得者、高所得者という言葉が頻繁に使われていますが、その違いがどうもよく分かりません。特に高所得者というのは年収いくらぐらいが対象になるのか?

 報告原案を単純に考えれば「いいんじゃない」となりますが、高所得者の定義如何で対象者は簡単に増加します。

 つまり自分は高所得者ではないだろうと思っていた人も対象にされてしまう可能性があるということです。(私の個人的な知識を元に書いていますので、もしかしたらきちんとした定義があるのかもしれません)

 社会保障に関するお金が足りない現実は明らかなようですから、現状を維持するためには負担増、負担を維持するなら支給額を減らすという二者択一の道しかないようですが、どうも国民会議の報告案を見ていると、ともかくすべての年代に対して、今後大きな負担増を強いるという印象しか持てません。(これが参院選の後に出てきたことも、汚染水問題と同様に意味深いものを感じます)

 しかし、そうでもしないと、年金制度も健康保険制度も破綻する可能性があるのかもしれません。


表紙に戻る 政治の動き(2) 汚染水流出問題