遂に国が汚染水対策に乗り出すことに

汚染水流出問題はかなり深刻(2013.8.8)

 東京電力福島第一原発の汚染水問題は、いよいよにっちもさっちもいかない状態になってきたみたいです。

 事故から2年半近く経った今頃になって、地下水が流入している、事故当時の汚染水が構内に残っている、汚染水が海に流れ出している等々、なんだか初めから分かっていそうなことが、あらためて分かったという形で報道されています。

 しかし東電さんのこれまでの事故に関する報告内容を聞いていると、分かっていたけど確証がなかったので発表しなかったとか、つい後手に回ってしまったとか、本来なら発表すべきだった、みたいな報告が多く、今回の汚染水問題も「今に始まったことではないだろう」と思わざるを得ません。

 その意味では、参議院選挙後にこういった新たな事実(かどうか分かりませんが)が発表されたことに強い違和感を覚えます。

 この間の動きを見ていると、こういった汚染水問題が明らかになる前に、柏崎原発の再稼働を申請してしまおうという意図も透けて見えます。

 もちろん現場で働く方々は、日々必死の思いで汚染水問題や事故処理に取り組んでいるのだと思いますが、政府や企業トップの方に、再稼働を急がねばという気持ちがあり、事故処理が後手後手に回っているのではないかとも思えます。

 この事態に、ようやく東電に任していても駄目だということを国側が認め、国の主導で今後は対策が練られるようですが、果たして何が出来るのか?そしてその対策費用は国費を使うんだ、と今日の朝刊に出ています。

 「電気料金ではなくて、国費ならいいか」と考える人もいるかもしれませんが、国費と言ってももとは税金です。要するに東京電力利用者が電気料金として負担するのではなく、日本国民全体で事故処理費用を負担すると言うことだと思います。

 しかもそれだけのお金を使って流出が止まるのか、と考えると、素人が考えても、これは難しそうだと思わざるを得ません。

 そもそも水ガラスで流出をとめるという発想自体が不思議です。(それしか方法がなかったということのなのかもしれませんが)

 放射性物質が混じっている汚染水の巨大なプールに、山からどんどん地下水が流れ込んでくるわけですから、プールの出口に水ガラスの壁を作っても、やがてはプールのヘリから汚染水が流れ出るのは、小学生でも分かりそうなことです。

 つまり水の流入を止めずに、流出だけを止めたわけですから、やがてあふれ出るのは時間の問題だという事です。

 というわけで、政府の方針は凍土遮水壁を作って、地下水の流入そのものをなくそう、ということのようです。これなら流入そのものが、なくなるか減ると思いますので、同時にたまっている汚染水を汲み上げれば、海への流出は減ることになります。

 しかしこれもうまく行けばと言う仮定であり、そうでない場合は1日300トンずつ海に汚染水が流れ出続けるということですから、そのままなら近辺の漁業は壊滅、と言うことになりかねず、さらにその範囲は拡大を続けるはずです。

 そうなると漁業だけでなく、海水浴や観光業、宿泊関係が衰退していき、この地域全体の経済活動が衰退していくということになります。場合によっては近隣諸国からの苦情もあり得ます。

 そんな事態を避けるためにも、なんとか地下水の流れを止めるか向きを変えるしかありません。凍土遮水壁がなんとかうまくいくことを願って、しばらくこの動きを注視しようと思っています。


表紙に戻る 政治の動き(2) 国の借金 1000兆円突破