目的外使用が簡単に許されるのが不思議

5兆円経済対策の財源に復興費剰余金も流用(2013.9.21)

 今日の新聞第一面。「5兆円経済対策 復興費剰余金も活用」との見出しに、思わず「えっそんなこと出来るの?」と独り言が出ました。

 政府は消費増税で経済に影響が出ることを恐れ、その対策費用として5兆円予算を計上するようですが、その予算の捻出先として新聞では4項目(一般会計剰余金、復興費剰余金、国債費や予備費の剰余金、税収増)書かれています。

 「う〜ん、なるほど。そんな勝手なことまで出来てしまうのか」と思っては見たものの、そもそもの税収が45兆円ぐらいで、支出が100兆円借金が1000兆円ある国で、剰余金が出るなんてこと自体が不思議です。借金が1000兆円あるのですから剰余金という言葉自体も不明確なような気もします。

 それぞれの数字にゼロを一つ付け加えて、単位を万円にすれば、一般家庭の財政状況に置き換えることが出来ると思うのですが、その場合、給料等の収入が450万円、支出が1000万円、借金が1億円ある家庭だと言うことになります。

 そんな経済状況で、当初予算額と実際の支出額の差が生じて剰余金になったというのが政府の考え方だと思いますが、その意味は収入が450万円で支出が950万円だったから50万円余ったという論法に似ている気がします。

 しかし現実には支出が50万円少なかったとはいえ、総支出額はいぜんとして950万円あるわけですから、大赤字であることは間違いなさそうです。

 100歩譲って、50万円余ったとしたら、通常の家庭の判断なら、その大部分を貯蓄または借金の返済に使うだろうなあという気がします。

 正直なところ、消費増税という美味しい収入が手に入ったので、その収入をいかに巧妙に目的外に活用するか、と言う悪巧みに見えてしょうがないです。

 構図としては、右手で個人から税金で8兆円を召し上げ、その内の6割(5兆円)を左手に渡して、左手で企業に大盤振る舞いをするという形に見えます。

 それだったら経済対策と言わず、個人対策として、その5兆円を個人に分配すればいいのでは、なんて考えて5兆円を日本人口1億2000万人で割り算すると一人あたり約42000円となります。

 これを貯蓄には使えないような形で個人に分配すれば、企業ではなく個人レベルでの経済対策になるような気もします。

 つまり自民党が考えているのは、経済対策 → 企業活性 → 収益増大 → 給料に反映 → 個人消費の増大 → 企業活性という流れなのだと思いますが、これはどこから初めても良いような気もします。

 始まる場所を変えるだけですから、個人への給付 → 個人消費の増大 → 企業活性 → 収益増大 → 給料に反映 という流れです。

 とはいうものの、自民党としてはともかくお金を持っていそうな人から少しでもお金を取り上げ、それを企業活性化費用に回したいと言うことなのだと思います。

 さてどうなるのか?息子に言わせると、政策の良い悪いは別にして、政治に多少なりとも動きが感じられると言うことでした。確かにそれはあるように思えます。


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