消滅可能性都市は拡大中

地方再生は本当に可能なのか?(2015.4.17)

 4月当初大学に通い始めた息子が、キャンパスが変わったことにより、「遠すぎる。疲れる」と不平を言い、これはもしかしたら「一人暮らし」で、今後は月10万円の仕送りかと覚悟しました。

 息子は3年ですから、もし2年間仕送りを続ければ、およそ240万の資産減だなと思いましたが、自分は海外旅行に行きながら、「家計の都合で一人暮らしは無理だぞ」とは言えません。

 その後、夏休みまでは自宅近くの教習所に通うこともあって、自宅通学を決定。今日もすでに出かけていきましたが、実際通学方向は都心への上り方向ですから、電車も混雑し大変だろうなと思っています。

 私自身は、学生時代の前半は都内の自宅から電車で1時間ちょっとかけて大学に通っていました。その頃のことを改めて思い出しましたが、その頃の大学はまだのんびりしていて出席がそれほどうるさいわけでもなく、授業の取り方によっては結構ゆっくり自宅を出発した記憶があります。

 その意味では若いときの通学という感覚と、フルタイムの定時の通勤というのは、ずいぶん違うんだろうなと思えます。基本的に仕事となれば、「行かなくてはならない」ということですが、通学の場合は「行ったほうがよい」という、一段緩い拘束になるような気がします。

 というわけで、とりあえず現状は「遠い」と言いながらも通学できています。一方私のフルタイム時代の仕事は教員でしたから、卒業していく生徒たちの通学状況も多少なりとも把握しています。

 その経験によれば、片道の通学時間が1時間半を越えると、一般的に「この通学時間は長すぎるし辛い」と考える生徒が増えてくるように感じていました。

 さらに2時間ぐらいになると、ほとんどの生徒が三ヶ月か半年通学した後、アパート暮らしを選択するようになります。その意味では、自分が通える範囲に、通いたいかつ面白そうな大学があれば良いのですが、そうでない場合は学費のほかにアパート暮らし費用も必要になり、親はさらに苦労することになります。

 そう考えると、子供たちの大学や自分自身の病院通い等、地方に住んでいるというだけで負担が増す事例は豊富にありそうです。しかも今日の毎日新聞朝刊の1面には「安倍政権下で(地方との年間平均所得の)格差拡大」という見出しが出ていて、地方に住んでいるというだけで収入も少なくなるという実態が報じられています。(( )内は私が付け加えました)

 「地方再生」という言葉は聞こえが良いですし、「もしかしたらなんとかしてくれるのか」という期待感もあると思いますが、現実はどんどん逆の方向に進んでいるということです。

 時折地方の成功例がテレビで取り上げられたりしていますが、それはその場所だけに限られるような、いわゆる地方のある1点だけに通用する方法で、地方という面を再生する方法は今のところ皆無と言ってよいような気もします。

 新聞にはさらに我が埼玉県の消滅可能性都市なんていう地図も出ていますが、これを見ると埼玉県の西半分は壊滅状態で、空恐ろしくなります。 


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