庶民の浪費を求める政治

消費支出2ヶ月連続減となった原因は?(2015.8.30)

 伊豆横浜旅行に行っている間の新聞を読み返していたら、「消費支出2ヵ月連続減」「回復シナリオに暗雲」という記事が出ていました。内容を読んでみると、総務省発表の7月家計調査で、1世帯あたりの消費支出が前年同月比0.2%減と2ヵ月連続のマイナスになったということのようです。

 原因は食料品等が値上がりしたので、消費者が気持ちを引き締めて家計支出を抑えているということのようです。政府はこれまで賃金上昇を大手の企業にお願いして、春先はベースアップしたという景気の良い話も出ていました。

 また最近は中国経済の先行き不安から、中国の株が下落し、それが全世界に波及しましたが、それまではとりあえず金融緩和による株価の上昇が演じられていました。

 しかしにも関わらず消費支出が増えないのは何故か?jこれについて私が思うところもあるのですが、まずはネットでどのように分析されているのか調べてみました。結果は以下のとおりです。要点を箇条書きにしました。

・ 賃金上昇分は消費に回らず貯蓄に回っている
・ 賃金上昇は一部の企業に限られ、全体に浸透していない
・ 少子高齢化により、年金受給者が増えているので、賃金上昇の恩恵がない
・ 将来の年金に対する不安により貯蓄率が増加
・ 将来の医療・介護で自己負担が増える可能性を予想して貯蓄率が増加
・ 社会保障費増加による、給料からの天引きの増加
・ 来年度の消費税増が見えている

 すべて私自身も考えている内容で、納得できます。さらにいえば個人的には

・ 生活に必要な最低限の物質がほとんどの家庭に行き渡り、新たに買わなければならないものがほとんどない
・ 教育費用の負担増で、通常の消費支出を減らさざるを得ない
・ 無駄な保険を減らし、無駄な買い物をしない消費者の増加

というようなことを考えています。何を言いたいのかといえば、政治の動きに敏感で、将来の家計を予測し、無駄なものを切り詰めるという「賢い消費者が増えた」ということではないかと思います。

 以前も書きましたが、賢い消費者は浪費をしません。つまり家計がコンパクトにまとまっているということで、これはもしかしたら少子高齢化によって賢い高齢者が増えているということかもしれないなと思っています。

 ところが日本経済は、前にも書きましたが、朝から晩までテレビやラジオ、インターネットを通して「あれを買え」「これを買え」「これが便利だ」「これを使えば健康になる」とがなりたてて、ただひたすら浪費を促すという傾向が強いです。

 一方国家財政は、国民が浪費をすることによって経済が活性化し、税金が増えるという前提で予算編成を行なっていますから、賢い消費者が増え続ける限り、今後も赤字国債がダラダラと発行され続けるのだと思います。

 そしてその度に、自らの予算編成の欠陥を修正せずに、税金額が足りなくなったから増税しますと宣言し、さらに消費マインドを冷え込ませるということを繰り返してしているように思えます。

 さてどうなるか?株価さえ上がっていれば、景気は回復しているように見えるという手品も、そろそろ種明かしされてきたような感じがします。賢い消費者は、その手品が通用する間は便乗して何がしかのお金をもうけ、種明かしが分かってしまったら、さっと散ってしまうのではないかと思っています。


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