誰が何のために政治をしている?

軽減税率の議論は低所得者のためではなく選挙のため(2015.12.11)

 資産運用の話を書いているうちに、自民党と公明党の間で軽減税率の話が勝手に進んでいます。公明党は「低所得者のために、なるべく多くの分野で軽減税率の適用を」と主張し、自民党は「軽減税率の範囲を広げると税収が減ってしまう。今対応できるのは4000億円の範囲が限度だ」と言っていました。

 公明党としては、以前から主張していたことですし、もしここで妥協したら安全保障関連法案で妥協に妥協を重ねた公明党自体の存在意義が問われると判断しているのか、かなり強気な姿勢で臨んでいるとは感じていました。

 しかしその議論を進めているのは、なぜか急に山口代表になったように感じます。安全保障関連法案では途中から急に山口代表の影が薄くなったように感じています。

 一方安全保障関連法案で、かなりの反発を意識した自民党というか安倍総理は、ここにきて耳障りの良い今後の方針を打ち出して、いつの間にか以前の三本の矢がどうなったのかという議論をすることもなく、新しい方針が提案されています。

 さらに外遊というか、あちこちの国に行って様々援助をすると宣伝しています。まあ自分の懐ではなく、すべては税金からの支出ですから、はた目には気楽にお金をばらまいているように見えます。しかもどこかに行くたびに、これは実態はよく分かりませんが、巨額の渡航費用が支出されているのだと思います。

 そんな中での軽減税率の議論ですが、結局は「低所得者のための軽減税率の適用」ではなく、「来年の参院選で勝利するために、いかに良い恰好をするか」という、ある意味見栄えの競争であるような気がします。

 つまり選挙で勝つためという大前提があり、そのためにいかに自分たちが苦労しているのかという印象を与えることに腐心しているように見えるということです。

 この間、海外に行くという理由で臨時国会が開かれないままに、自公の両党で勝手に原案の作成が進んでいます。一方でパリで同時多発テロが発生し、ロシアとトルコの間にも緊張感が漂っています。

 国内ではノーベル賞の話題で盛り上がっているようですが、世界全体がきな臭い状態になっているようにも感じられ、そんな中で加工食品がどうこう、なんて言っているレベルでもないような気もします。

 ただ自公政権は、それなりに動いている印象も確かにあります。一方で民主党と維新の会は、自分たちの政党維持が精一杯という雰囲気で、これじゃあますます自民党が強くなりそうだなと感じてしまいます。

 さてどうなるのか?トップがどうなろうが、自分の生活だけは何とか維持しないといけないというのが、大多数の庶民の感覚かもしれませんが、トップの動きで自分たちの生活に大きな影響が出ることも確かです。

 こういった動きに辛口のコメントを出していた野坂昭如さんが亡くなられたそうです。年齢的にやむを得ないと思われますが、やはり残念です。ご冥福をお祈りしたいと思います。


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