利便性を重視した金融機関の選択

マイナス金利で金庫を買うのは早計(2016.2.25)

 マイナス金利で金庫が売れているというニュースをやっていました。昨日はゆうちょ銀行の普通預金の金利が0.001%になったという記事が出ていましたから、それなら自宅で現金を保管した方が良いと考える人が増えているのだと思います。

 しかしマスコミの記事ですから、もしかすると宣伝の要素も多いのではと私は疑っています。つまり少しでもお金を使って消費してもらいたいという政府の意向を、そのまま垂れ流しにしているのではという疑念です。

 新聞では宣伝のためにいろいろな週刊誌の見出しが掲載されます。それを見ていてもなんとなく感じることですが、株価が上がり始めると、これなら日経平均は2万円、2.3万円もあり得るという記事が増え、下がり始めると、この先は暴落しかない、という論調が増えるように思います。

 要するに主体的な記事ではなく、その時その時に思いついたような、受けの良いもしくは人を不安に貶めるような記事が多いということです。

 そもそもマイナス金利になったという今回の報道も、一般庶民の貯金額が減額されたわけではありません。基本的に預けても増えない、というだけです。

 だから引き出すという発想は「利便性を高める」という意味では有効かもしれませんが、そのために新たに数万もする金庫を購入するという発想は不可解です。

 1億円を1年間貯金をしても利息は1000円(実際には800円弱)だからと言うことだと思いますが、その金額と金庫の値段を考えると大きな開きがあります。

 私の世知辛い発想では100万円を普通預金に入れておけば1年で10円(実際には8円弱)増える可能性があるわけです。しかしそれでは意味がないと考えて、100万円を引き出して1万円の金庫を買えば、手元に残るのは99万円の現金です。

 一方預貯金を継続すれば、通帳には1000008円ほどお金が残っています。要するに、なんとなく必要だというようなマスコミの報道に流されて金庫を買えば、資産は減る一方だということです。

 ただ、以前も書いたように、銀行にお金を預けておくと、そのお金を使って振り込みや何らかの決済をしようとすると、ネットでの手続きができなければ、わざわざ銀行まで行かなくてはならないということになり、その交通費や時間、手間を考えると、それだったらいっそのこと手元に現金があれば、という発想になるかもしれません。

 そう考えると、今回のマイナス金利による影響を消費者が考える場合は、利息の額や金庫の購入ではなく、普段利用している金融機関の利便性が大きいなと思えます。

 つまり自宅近くにATMがあるとか、支店があるとか、振り込み等の手数料が安いとか、支店の店員が高齢者への配慮があるとか、支店内がバリアフリーになっているとか、そういった視点で見ていく必要があるのではということです。

 その意味では、都市銀行が一斉に金利を下げたことによって、今後は賢い人たちのネット銀行への資金移動がますます増えるような気がします。


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