教育環境そのものの改善が必要

ここの教員の能力が高まっても「いじめ」は減らない(2015.11.13)

 今日の毎日新聞朝刊の第一面、トップ記事は「教員に英語能力指針」だそうです。小学校でも英語を教える機会が増えているので、英語の教員にもっと実力をつけさせようということなのだと思います。

 記事では、現在の英語教育では「高校を卒業しても大半の人は英会話ができない・・・中略・・・・高校3年生の英語力調査では・・・・英検に換算して中学レベルだった」と書かれています。

 だから教員のレベルを上げないとということになるのですが、その方法がカリキュラムをいじることと書かれていてがっくりです。要するにひたすら勉強して知識や能力の高い教員を育成すれば、それに伴って子供たちの英語力も高まるという発想なのだと思いますが、実に短絡的だなとつい感じてしまいます。

 一方でつい先日は、教員の定数をもっと削減せよという意向が財務省あたりから示されています。(このあたり記憶は不確かで、財務省ではないかもしれません)

 つまり高い教育レベルの教員を集め、少数精鋭にするということなのだと思いますが、その反面、最近再び「いじめ問題」がクローズアップされています。

 これもまた、いじめのアンケート調査をしたのにそれが共有されなかったとか、再調査をしたらいじめの件数が増えたとか、いじめの実態を現場が把握していないということに焦点を当てて、現場を攻める論調が多いですが、実際に教員として教壇に立っていると、「もうこれ以上は無理なんじゃない」と感じることも多いです。

 その理由はいくつかありますが、年金繰り下げ給付の影響で、現場では10年前ぐらいに比べて私も含めて60歳以上の非常勤講師や再任用と呼ばれる、週に数日だけ勤務する教員が増えています。

 つまり平均年齢がどんどん上昇しているということです。しかも、再任用で一週間に数日勤務する先生は部活の顧問も担当しますが、実際には週数日しか出勤しませんから、そのしわ寄せは正規勤務の教員に向かいます。

 ということはフルタイムの教員は、これまで以上に部活指導で時間をとられるということです。

 一方、様々な報告書類(いじめアンケートを含めた)の作成が、それこそ毎週のように依頼されるので、コンピューターを使った文書作成業務の時間が増加しています。

 また仕事の連絡や割り振り等、メールで行なわれることもあり、授業以外の時間はコンピュータ画面を見て過ごす教員が激増しています。
 
 そんな状況で、情報の共有なんてことが出来るわけがなく、唯一週1回行なわれる学年会議あたりで、「うちのクラスの誰々君の様子がちょっと変なんです」というような前向きな報告があったとしても、「それでは担任の方で保護者と連絡をとって対処してください」というような形で終わることも多く、学年全体で情報を共有して対策をとる」なんていう実態からはかけ離れています。

 だいたいが、1クラス30人を越えたら、それぞれの生徒の目配りをするなんてことは、ベテラン教員でも難しいです。そういった実態の改善もないままに、個々の教員の能力が足りないからダメなんだ、と言わんばかりの教育行政に激しい憤りを感じてしまいます。
 


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