運用成績と運用担当者の関係

銀行や証券会社の投資信託について(2015.11.27) 

 証券会社や銀行が資産運用のセミナーを行うことがあります。題名は「今後の日本経済」とか「これから発展する産業」といった、将来に期待を抱かせるテーマが多いです。

 私も現役時代に何回か参加してみました。だいたい会場は立派な場所が多く、いかにもリッチな、若しくはお金持ちが集まるような雰囲気で説明が行われますが、私が参加したセミナーは前半が表題のテーマでした。

 プロジェクターなんかを使って、理路整然と割と分かりやすい説明をしてくれますが、結論は、「これからは*****の分野が注目される」とか、「今利益が出ているのはこういった企業」というような話で締めくくられます。

 そして第二部。第一部の説明に則って、優良企業を集めた投資信託があります。これからの投資対象として如何でしょうか?という紹介のような勧誘のような、微妙な言い回しで新しく設定する投資信託を進めてくることが多いように感じました。

 当時は私も投資信託の知識に疎かったので、「なるほど、それなら今後利益が得られそうだ」と確信し、いくばくかのお金を投資したりしましたが、まあ時期が悪かったのか(バブル崩壊後でしたから)だいたいが買った直後から価額は低迷し、結局損切り。

 10年以上前だと思っていますが、その投資信託の名前は今も記憶に残っていて、新聞の投資信託の欄にも掲載されていますが、基準価額はいまだに1万円を回復していません。

 たまたまかもしれませんが、投資信託を選ぶにも十分な調査が必要だ、プロに任せるから安心だ、という語句を鵜呑みにしてはいけないなという授業料になったと思っています。

 そもそも次から次へと新しい投資信託を何故設定しなくてはいけないのか。新たに投資信託を設定するたびに、運用する人を新たに採用しているとは思えません。

 だとすれば限られた人数で次から次へと新しい投資信託を作れば、古いものの運用は徐々に疎かになっていくのは当たり前だと思います。

 つまり極端なことを言えば、設定当初に集まった資金を使って優良銘柄をたくさん買い、あとは顧客が買いたいとか引き出したいといってきたとき売買をすれば、それで運用ができてしまいます。

 言い方は悪いのですが、しょせん投資家の金であって自分のお金ではありません。またどのような銘柄をいつどのように売買して運用しているのかということも、購入者にはほとんど知らされません。

 年に1回かそこら運用報告書が届いたりしますが、この報告書を作るだけでも相当な時間が必要で、必死になって資金を運用するという姿も、その報告書からはあまり見えてきません。

 というわけで結論ですが、証券会社や銀行が大々的に宣伝して投資を募っているような投資信託は、私は避けたいということです。

 できるならば運用成績が直接運用者の収入に結びつくようなシステムで運営されている投資信託を選んだほうが、まだ責任の所在がはっきりしていいなと思っています。

 そこまで考えてたどり着いたのが、独立系投信と呼ばれているものです。


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