その年齢にならないと
分からないことがある

改めてこの6年間を振り返ると、予想外に好調でした(2015.12.8) 

 57歳で早期退職をする半年ほど前、早期退職を行うべきか真剣に悩んでいました。何回も書いていますが、早期退職を決断した場合は、家計が間違いなく厳しい状況になります。

 だかろこそ、もし早期退職後全く仕事に就けなかった場合も想定して、何回も家計費のシミュレーションを行いました。もとになったデータは、収入関係が「当時の貯金額」「退職金の額」「将来もらえるであろう年金の額」です。

 当然ながら貯金額と退職金の額はすぐに計算できましたが、年金の額が不確定。しかも場合によっては繰り上げj受給も選択肢に入れていましたので、シミュレーションにもいろいろなバリエーションができました。

 一方支出の方は、レシートをまとめただけですが家計簿をつけて、生活費を把握し、さらに保管してあった税金や保険料の請求書を見て年間の家計費以外の経費を算出しました。

 この二つを年度ごとに相互に比較し、収入と支出を対比させ、どのくらい資産が減っていくかを計算しました。その結果分かったことは、65歳までは「貯金+退職金」という資産は減り続けるものの、かろうじてゼロにはならないということです。

 ということは退職後に全く働かずに年金支給年齢まで節約生活を続ければ、何とか家計の破たんは逃れるということでした。(年金を予定通り受けることができれば、自分ひとりの生活費は何とかなるだろうという予想です)

 ここまで計算して、ようやく早期退職に対する不安は多少解消できたものの、机上の計算と実生活は往々にして異なりますので、なかなか決断はできません。

 結局最後の決断は、年末が近づいたころの仕事のストレスによる激しい体調不良で、このまま仕事を続けていたら身が持たない、そうなったら当時中学生だった息子への影響も大きいな思ったことがきっかけです。

 そして、であるなら自分の予想したシミュレーションを信じて早期退職をしたほうが、多少は幸せな生活を送れるだろうと考え、ついに決断。要するに金よりも健康を重視したということです。

 退職直後の4月1日のすがすがしさは格別でしたが、一方で「この年で早期退職するとは」という、若干の負い目もありました。

 ただ幸いなことに、自分の体力でできる範囲の非常勤講師の仕事が見つかり、さらに市からの父子家庭への補助金、そして早期退職直前から少しずつ始めていたネットからの副収入も入るようになり、資産総額は減少したものの、当初の予想よりはその減額幅はかなり小さくなりました。

 とういわけで、ある意味無我夢中の3年間を過ごし、60歳になり、一部の年金を支給されるようになり、さらに3年近くが経過し、今に至っているわけですが、この間、特に60歳以降は精神的なストレスも激減し、まあある意味理想的な生活環境になっているなと思っています。

 そしてここのところ新たな投資信託への投資を考えているのは、さらに先の見通しがはっきりしてきたからで、加齢とともに将来の可能性は制約されるものの、逆に消費する金額は限られてくるなという確信めいたものも芽生えているからです。

 当然ながら、今の心境や家計状況は57歳の早期退職当時には、全く予想していなかったことで、自身の健康状態も含めて予想外に好調だと思えます。

 面白いなと思うのは、その年齢になってみないと分からないことが世の中には多数あるということで、今の私の心境は60代以上の方には理解できても、50代以下の方には実感が伴わないかもしれません。


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