根強い庶民の防衛意識

噂がいつの間にか既定の路線に変更?(2016.4.6)

 以前も似たようなことがあったと思うのですが、安倍首相は衆参同時選挙はやらないとか、消費増税の先延ばしはしない、と最初は明言しています。

 ところが、周辺の自民党議員のちょっとした噂話から、「もしかしたら・・・・」という話が出てきて、最初は官房長官あたりは強く否定します。

 しかしマスコミが騒ぎ始めるにしたがって、その論調は確固としたものから、いつの間にかそういうことがあり得るかもとか、もしそうなる場合にはこんな条件が必要だとか、趨勢を見極めてとか、まあいろいろな解釈が出てきます。

 そんな中、いつの間にか与党も野党も、「こりゃあり得るぞ」という考えのもとに動き始め、最初は単なる噂だったものが、いつの間にか既定の路線に組み込まれていきます。

 まあいつものことですから、選挙で勝てるかどうかという見極めも含めて様々な可能性を考えているのだと思いますが、そこには庶民の生活という観点が抜け落ちているような気がします。

 つい先日の待機児童の問題も、マスコミが大きく取り上げたことによって、最初は無視しようとしていた政権側が急に取り繕って、現場の負担を増やして(定員を増やして)待機児童を減らすというような方針を打ち出しました。

 限られた税収の中から、金は出しにくいという現状があるのかもしれませんが、定員だけが増えてしまったら現場は混乱し、そこに預けるお母さん方の不安も増えるような気がします。

 働こうとすると子供を預けられない。それでも無理して働いてみたら信じられないほど収入が少ない、若しくは負担が多い。という現実を知ったら、それだったら働かずに・・・・と考える人が増えてもしょうがないと思います。

 今日の新聞には、日銀の金融緩和政策は、予想外の展開で苦境に陥っているというような記事も書かれていますが、なんとなく感じるのは、こういった施策を行おうとしている人たちの生活が、浮世離れしているのではという事です。

 様々な統計的数値を分析、解釈していろいろな施策を行っていると思われますが、こういった人たちは、スーパーで買い物かごを持って、セール品を探すというような経験はしていないように思えます。

 実際に自分の子供を、倍率の高い保育所に預けようとして苦労した経験もないのではないでしょうか。(想像ですから間違っているかもしれませんが)

 仕事が忙しくてそれどころではないということもあるかもしれませんが、それだと今庶民が感じている将来に対する漠然とした不安を認識することは出来ません。

 金を市場に流せば消費が増えるという理屈でマイナス金利政策を行ったわけですが、実際に消費は上向きません。将来の生活に対する庶民の防衛意識というのは、かなり根強いと思われます。

 しかしではどうしたらよいのか?となると、これまた良い案が思いつきません。不安をなくすには、将来にわたって潤沢なお金が得られるという意識が必要だと思われますが、いくら働いても、いくら年金をもらっても、中間層以下の人たちの生活はあまり良くならないという見通しが強いように思います。


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