反省の無い政治は信用できない

G7は無事終了、世界経済は危機的状況なのか?(2016.5.29)

 G7が無事終了し、各国首脳は自国に帰って土日はのんびりしたのでしょうか?それとも帰るついでにあちこちに寄り道をして、他の国の首脳と情報交換をしているのでしょうか?

 日本はG7開催中とオバマ大統領の広島訪問については大騒ぎでしたが、その後は再び舛添さんの問題がクローズアップされているような気もします。

 ただG7と絡んで、消費増税延期問題が取りざたされているのが気になります。特にすでにマスコミでも取り上げられていますが、安倍総理が伊勢志摩サミットで、突然現在の世界経済の情勢はリーマンショック前に似ていると言い出し、だから危機的状況だと言い始めたことにびっくりしました。

 実際それに対する各国の反応は「今は危機的状況ではない」とコメントしている国もあり、唐突感が否めません。実際この突然の危機説は、他国の報道機関から驚きとともに批判もされているようで、誰もがなんでこんなことを言い出したんだろうと感じたのではないでしょうか。

 だいたい世界経済が危機的状況にあると言った場合の、「危機的」とは何を指すのかが曖昧で、安倍総理はグラフ等を示して説明したという事のようですが、見方を変えれば世界は24時間危機的状況にあるとも言えるし、中東の一部の国を除けば、世界は平和で安定しているとも言えます。

 というわけで、結局日曜の新聞等を見ても、安倍総理の発言は、世界が危機的状況にあるという共通認識を理由にして、本当は消費増税をしたかったのにやむなく延期せざるを得ないという論理の展開をしようとしているように見えます。

 つまり自民党というかアベノミクスのこれまでの政策は正しくて消費増税が行われるのも当然だったが、世界経済という外部環境の悪化によって日本経済がより影響を受ける可能性があり、その影響を軽減するために所費増税は延期せざるを得ないということのようです。

 しかしそうなると、以前も書いたように社会保障費はどうなるのか?国家の財政はどうなるのか?という事が問題になりそうで、上げても延期してもうまくいかないように見えます。

 従って大変難しい経済運営になっているという事はよく分かるのですが、不愉快なのは、結局自分たちが行ってきた政策は正しかったのに、外部環境が悪化したからうまくいかなかったと、原因を常に外部に求める姿勢がみられることです。

 本来なら、外部環境が悪化することも考慮して政策を立てるべきであって、それが出来なかったという反省があってしかるべきだと思えます。

 舛添さんのコメントもそうですが、自分がやっていることは常に正しいという姿勢は、反省のない政治を行っているという事で、人間的に反省しない人は信用できないなとも感じます。

 一方、野党はアベノミクス失敗を言い立てていますが、民進党だったら経済は回復して社会保障も万全の体制になったのかと考えると、それもまた厳しいように思います。

 つまり少子高齢化の現状は、だれが何をやってもなかなかうまくいかないということで、何かを変えようとすれば、どこかに痛みやしわ寄せがいくという事です。

 問題はそのしわ寄せの先が資産家なのか経済的弱者なのかという事だと思え、その意味では消費増税は先送りして、資産家への課税を強化するというのが、庶民が期待する政策であるように思います。


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